今も昔も、アメ車は個性的なルックスを持ち、ひと目見ただけでその人に強烈なインパクトを与える。日本にも数多くのファンが存在し、いつかは憧れのキャデラックに乗りたい。と少しづつ貯金をしている方もいるだろうと思う。
しかし、残念なことに多くのキャデラック車はある故障を頻発しやすいという可能性を秘めている。それは「オイル漏れ」だ。
酷い漏れに発展する場合もあり、完治させるにはエンジンを降ろして修理しなければならないケースがほとんどな為、そうなると多額の費用がかかってしまうので放置して我慢しながら乗っているオーナーも多数。
そこで私はこのキャデラックのオイル漏れに関する情報を多方面から収集、本国アメリカのネットコミュニティなども参考に、ここにまとめてみようと思います。
ここではキャデラックシリーズの車、90年代から2011年頃までに搭載されていた「ノーススターエンジン」についてのオイル漏れを記載していきます。
ノーススターエンジンのオイル漏れ
必ずと言っていいほど漏れる
以前からアメ車にいい評判はなく、「すぐ壊れる」「燃費が悪い」この2つの言葉はアメ車を知らない人にとってもはや定着しているようで、アメ車についてどんなイメージを持つか?と投げかけるとよく返される言葉でちょっと悲しい気持ちになる。
キャデラックのオイル漏れに関してもその言葉を助長するかのような、世間のイメージの悪さ通りのまさに悪い原因の1つとなりうるような漏れであり、普段優秀な日本国産車に慣れている私達にとってとてもネガティブな要素となっている。
このオイル漏れに関してかつて日産車のアクティブサスが必ずと言っていいほど故障したように、ほぼ確実に、どんなキャデラックでも漏れるとされている。今漏れていなくても近いうちに必ず漏れると思ってもらって構わない。それほど漏れる率は高い。
今回オイル漏れについて調べたのは90年代から2011年頃までの主にV8(ノーススター)エンジン搭載車。車種はセビル、ドゥビル、コンコース、エルドラド、フリートウッド、ブロアム、エスカレード、STS、SRX、XLR、DTS。エスカレードはノーススターではないけど、やはりオイル漏れ症状は出やすいようだ。
およそ10万kmを前後に症状が進行する
今回調べたところによると程度の差はあれ、大体の個体がおよそ10万km(6万~7万マイル)辺りを境にオイル漏れの症状が進行するとのこと。
運が悪いと新車時に漏れる個体もあるらしく、母国アメリカでもこのオイル漏れ問題についてはとても評判が悪く、キャデラックのオーナーはみんな頭を抱えている。
訴訟大国とも言われるお国柄であるアメリカでオイル漏れが常態化している車に対してユーザーが黙っているはずもなく、コミュニティサイトのあちこちでGMを訴える、とする書き込みがちらほら見られる。実際はどうなったかはわからないけどそれほどアメリカでもキャデラックに対するオイル漏れは悪名高い。
何故リコールにならないのか?GMはおかしい。昔から漏れる車だから仕方ない。それでもキャデラックが好きだ。と意見は様々。
オイル漏れを直すとなるとエンジンを降ろして再シールする、といった流れは日本でも変わらないそうで費用がおおよそ2,000~3,000$程かかるようだ。日本よりは作業者がたくさんいるのかいくらかは割安だけど、それでもエンジンを降ろすというのは多額の工賃が発生する作業なだけに本国でも躊躇する人が多い。
オイル漏れ箇所
・バルブカバーガスケット
・オイルパン
・フロント/リアクランクシャフトシール
・タイミングカバーガスケット
・クランクケース
・パワステホース
・オイルプレッシャー/レベルセンサー
この中でバルブカバーガスケットとパワステホース(エンジンオイルではないが)は比較的安価で修理ができる。ヤナセでもバルブカバーガスケットが約65,000円程。パワステホースは部分によって価格が違うけど、私が経験したハイ側のパワステホース漏れの修理金額は約40,000円程だった。
パワーステアリングホースの漏れは本国ではそれほど多くないトラブルらしく、あまり漏れが発生しない部位とのこと。だけど日本の道路は狭い。パワステにかかる負担は本国使用の数倍にもなるだろう。
日本に輸入されてくる外車はパワステホースからの漏れが多く、その理由が上記によるもの。日本のような狭い道を日常で連続的に走りうるような耐久性を持たせていないから漏れる、という話をよく聞く。外車は車種を問わず、パワステ関連はウイークポイントになりやすい。
この中で1番困ったところなのがオイルパンからの漏れ。ここから漏れ出すとエンジンを降ろすしかなくなる。エンジンを降ろしてミッションを切り離し、そこからようやくオイルパンのボルトにアクセスすることができる。
オイルパンからの漏れはノーススターエンジンであればほぼ確実に発生し、10万km辺りから症状が出始め、そこから少しづつ悪化して収まることはないという。
私のDTSで下に潜って調べてみたけど、どうやっても周りの構造物が邪魔で工具が入っていかない。オイルパンの構造上エンジンを降ろさなければ目視ができない位置にもボルトがあり、やはりエンジンを降ろさなければ無理そうだ。
エスカレードだけはノーススターではなく作りが違うのでエンジンを降ろさずともオイルパンガスケットの交換は可能。だけどフロントデフを降ろしたりの作業が伴うそうなのでサクっと交換、というわけにはいかなそうだ。
オイル漏れを改善するには?
完璧に直したいのであれば高額な金額を払ってエンジンを降ろすしか手がない。なぜ高額になるのかと言えばエンジン脱着の単体工賃にしても高額になりうるけど、その作業に付随してミッションの切り離しや降ろしたついでに予防整備として、他の劣化したガスケットやシール類も交換した方が望ましいからだ。
後で他の箇所のガスケット類を交換したい、ということになるとまたエンジン降ろしの工賃が発生してしまい2度手間、3度手間になってしまう。であれば1度降ろしたタイミングで漏れが発生するであろう箇所や、これから劣化が進んでダメになりそうなところの修理を合わせて行った方が得策なのは明らか。
これらの理由が複合してトータルすると高額になってしまう、というのが多くのケース。国内でも本国と同じように、作業単価が安い工場へ依頼しても最低でも30万~位はかかってしまうと思われる。
しかしこれらのシール類やガスケットを交換したからといって、もうオイル漏れが発生しなくなるかと言えばそうではなく、2~3年程でまた漏れてくる可能性があるというのだから尚更や厄介。
その理由は定かではないけどエンジン組み付け時の精度が悪かったり、パッキン合わせ面の面粗度が悪かったりするようでエンジン全体の精度の悪さ、がオイル漏れの一因とされている。
またパッキンやガスケットが設計時の材料選定の段階で不良である、といった意見もあり設計初期の時点で設計ミスだ。という声もあった。これら設計不良はGM側でも年を追うごとにシール類の材質を変えて改善されているらしいのだけど、実際の現状はまだまだ改善の余地有り、といったところか。
ノーススターエンジンの最終型であるDTSのエンジンでさえオイル漏れは頻発している状況、私は過去のモデルの漏れ具合を実際に目で確かめたわけではないけど、初期になればなるほど漏れの度合はひどくなるようだ。
オイル漏れ止め剤は効果があるのか?
エンジンを降ろして修理するのは高額である、となれば誰もが考えるのがケミカルを使ったオイル漏れ対策。
私もDTSで様々なオイル漏れ止めを使ってきた。その結果はというとほぼ全て効果はなかった。
ワコーズ、バーダル、ホルツ、この3種類は全く効かなかった。シール材とゴムを膨張させる添加剤の成分が合っていないのだろう。ただ1つ、NC81という日産純正(ニューテックOEM)オイル漏れ止めは多少効果があった。
そこでUSアマゾンやキャデラックオーナーが集う本国のサイトで有効な漏れ止め添加剤がないかどうか調べたところ、2つの漏れ止め添加剤が効果があった。とする書き込み、レビューを見つけた。それが「ルーカス・オイルストップリーク」と、「ATP RE-SEAL STOP LEAK」という製品。
前者は公式HPにもレビューでキャデラックSTSの漏れが止まった。との記載があり、期待ができる。
後者の方は残念ながら日本では取り扱っている製品ではないらしく、検索でもヒットしない。わざわざ海外から取り寄せるだけの価値があるかどうかは微妙なところなので、興味のある人は上記のルーカス製を試してみてほしい。
私も次はこのルーカス製品を試すかどうか検討中です。USアマゾンではドゥビルでも効果があったとのレビューがあったので、DTSでも効果があるかもしれない。
キャデラックを買うなら….
まずオイル漏れがあるかどうか?は最低限確認した方がいい。もし漏れが見受けられずなかった場合、これから漏れるのかそれとも前オーナーが修理したのか、どちらかによってこれから維持するにあたっての費用が大きく変わってくるので、細かくチェックすることを勧めたい。
もし修理されているのであればかなり可愛がられていた証拠。他に悪いところがなければ即買い。
他、お店側が保証を付けてくれれば保証内での修理も可能になってくる可能性もある。
キャデラックに関してはオークション代行での車体購入は慎重に。オークション代行は基本保証がないし、漏れを隠して出品していたりすることもあるので出品表もあまりあてにはならない。相場よりかなり安く変えれば話は別になるけど、安物買いの銭失いにならないように気を付けたい。
コメント
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初めまして。
このノーススターエンジンは、記事に出ていませんが、もっと大きなトラブルを抱えています。
それは、シリンダヘッドガスケットの漏れで、一度でもオーバーヒートすれば、確実にやられます。
更にタチが悪いのが、単なるガスケットだけでなく、ヘッドを固定しているボルトのネジ穴までやられてしまう事です。
この修理は4〜5000ドル単位の修理になりますし、その時点で殆ど廃車になるので、この手の現存数が著しく少ないのです。
初めまして。
当方もヘッドガスケットの漏れはウワサ程度には聞いていました。
hiro様のご意見でウワサに信憑性が出てきた次第です。
貴重なコメントいただき、ありがとうございます。