車が好きな方であれば、必ずどこかで1度は興味をそそられるであろうオートオークション。
ここで業者の方々は車を仕入れ、店舗へ運び、仕上げて販売する、というのが世間の一般的な流れです。
もちろん下取りに出した車をそのまま販売することもあるでしょうが、そのお店がよく知らない車だったりすると、やはりオークションへ流してしまうことが多いと思います。
で、このオートオークション、業界最大手はUSSオークションですが、昨今はかなり認知度が高まりました。
そこでこんなことを考え人も増えたことと思います。
「オークションの値段で車が買えたら…」
車によりけりではありますが、高額な車であればあるほど、オークション落札価格からかなりの額を上乗せしてお店は販売しています。
この間、筆者自身が調べた事例ですが、とあるアウディが150万で落札され、店舗で250万位の値が付いていました。
これでも相場より少し安く、掲載されてから2~3週間程でカーセンサーから消えていました。
自分が150万で買っていたら…かなり儲けが出ますね。
実際にはオークション会場からの輸送費やらオークション落札料など、様々な諸費用が乗っかってくるのですが、それでも170~もあれば十分でしょう。
じゃあオークション会員になればいいんじゃないか?思いますが、そんな簡単な話ではありません。
そもそもオークション会員になるには様々な条件が必要となります。
・古物商許可証の取得
・営業から1年以上経過している
・実店舗がある
これらは一例ですが、一般人ではクリアできそうにないハードルが設けられています。
一般人では立ち入れない、言わば「聖域」なのがオートオークションなのです。
プロはこれで商売しているわけですから。誰でも簡単に入れたらそれは問題なわけで。
魚が安く買えるからと言って、一般人が築地に買い付けにはなかなか行かないですよね?
特に最大手であるUSSは審査が厳しいことで有名だそうで、並の中古車店では入会できないとか聞いたことがあります。
そこで…
色々なタイミングや自身の気持ちも重なったこともあり、
筆者自身がオークション会員になろうと思うに至りました。
思い立ったがなんとか…と古来から言われているし。
一筋縄ではいかないことは承知の上で、やってみます。
ここではオークションに入会するまでの顛末を記載していきたいと思います。
オートオークション入会までの道のり
オークションは本当に安い
実は20代の頃、ほんの少しだけ中古車屋で働いていたことがありました。
その中古車屋は当時としては珍しく、実店舗がありながらオークションのみに特化したお店で、
在庫はほとんど持たず、オーダーがあったときのみオークションから仕入れて販売する、というスタイルでした。
当時のオートオークション専門店の営業実態としては、そのほとんどが店舗がなく、
ネットで受け付けてから後日、スタッフがお客さんの元に足を運んでヒアリングを行い、相場を調べたり要望を聞いたり、といったのが主流だったように思います。
まだオートオークションというのがここまで広まる前のことなので、車に無関心な方はまず知らない業界だったはずです。
近年はインターネットの発達によって、オークション自体がかなり使いやすくなり、今ではスマホ片手に相場を知らべてお客さんに提案している時代です。
ちょっと車に詳しい方なんかはどこかで事前に相場情報を調べたりして「なんでこんなに高いの?」
などと攻めてきたりするとか…。今の中古車屋さんは大変です。
私が働いていたお店は前述の通り基本的に在庫を置かないで、注文があったときのみオークションで仕入れる営業方法だった為、結構ヒマな時間があったんです。
その空いた時間に車の相場を見ていたりしたのですが、本当にびっくりするほど安かったんです。衝撃的でしたよ。
高額な車両ほど値幅が広くて、落札価格4~500万を超える車は実店舗で100万以上乗っけてることもザラでした。特に輸入車。
カーセンサーで見かけたこの車、どこそこの会場で落とされて○○円だね、すごい利幅とってるね、
などとスタッフ間で談話しながら、よく相場をパソコンで眺めていました。
このときからです。私が車の値付けに対してすごく敏感になったのは。
ワケあってその中古車屋を早期に退職したのですが、退職後も自分の車を探しているときは、
「これオークションの価格はいくらだろう?」とか、
「この価格だと、これ位乗っけてるかもなあ…」
など、相場よりも安い車ばかりを求めるようになってしまいました。
それは今でも同じです。
程度よりも安さを重視してしまいます。
で、すでに業界人ではなくなった私はできる限り安く車を購入しようと、あれこれ画策します。
ヤフオクから調達してみたり、修復歴有な車を買ってみたり、普通の中古車店で普通の車を購入したことはほとんどありません。
まともな車を一般消費者価格で買えない体質になってしまいました。
ヤフオクの値付けはオークション落札価格よりも少し高い程度と言われており、現状ではヤフオクで購入するのが最安かと思われますが、ヤフオクの車は極端に走っていたり、かなり程度が悪かったり、故障を隠して販売していたり、買うには少し度胸が必要です。
全部がそのような車ばかりではないのですが、実際に粗悪な車があるのも事実です。
私が31~2歳の頃、オークションで見つけたキャデラックを見に行こうと、出向いた先は外車専門のレンタカー屋さんでした。
レンタル落ちした車なのかと思いきや、スタッフの方が個人的に購入した車とのこと。
話を聞くと聞いてびっくり。その方は「1か月に1回のスパンで車を乗り換えてます。」
と言うではありませんか。そんなことがあるのか?と。
あまり深く掘り下げませんでしたが、ヒマがあればオークション相場は見ていると言っていたので、おそらくはオークションでの売買を上手に利用して乗り換え続けているのでしょう。
ごく短いスパンであれば購入した車の相場は下落しないので、買った金額と同じ位の値段で売る、ということも現実的に可能です。
うまくいけばプラスになることだってあります。
それを聞いたとき、心の底から羨ましいと思いました。
それこそ自分の追い求めている環境だと。
そのキャデラックは購入して約5年乗り続け、更にアメ車へとハマることとなり、今に至ります。
その間も乗り換えたい気持ちは常にありました。
幾度も乗り換えようかと思いましたが、換えたい車がまだまだ高かったのと、ローンの残債が残っていたのでおとなしくせざるを得ませんでした。
ですが気持ちはなかなか抑えられず、オークション代行屋さんから見積もりを取ったりして欲しい車の相場情報は見ていました。
相場を見て、かなりの安さに驚きながらも何もできない自分、パソコンの画面をただ眺めていることしかできないのが空しいような悔しいような、なんとも言えない気持ちにさせるんです。
いいなあ~いいなあ~と、買えないおもちゃを眺めている子供となんら変わりません。
オークション入会に向けて
なんとかそっち側の人間になれないものか?
ここ数年間はそんな考えが頭をよぎっては、日々の子育てに翻弄されて消えていき…を繰り返してました。
実際にそっち側の人間になるには「業者になる」ということで、数々のハードルが設けられていることは知ってはいました。
ですが大変ながらも、ネットで調べてみると会社員として働きながら副業として中古車の売買をしている、なんて人もいます。
どうやら、やろうと思えば業者にはなれるらしい。
ということまでは知ってはいましたが、具体的な方法や手段はわかりませんでした。
やるのであれば本業で、とは思っておらず、あくまでも副業のスタンスで、というのは頭の片隅にずっと置いてありました。
いきなり本業としてスタートするにはあまりにも経験値が無さすぎるし、現実問題として家族を養わなければならず、安定的な収入が見込める正社員としての今のポジションを簡単に投げるわけにはいきません。
車自体には詳しいのですが、商売となるとそこまでの経験値はありません。
それに副業=趣味の延長と捉えれば、自分のモチベーションも維持できそうだし。
副業とはいいつつも仕事でやるからには赤字経営ではマズイでが最近ようやくわかってきたので。
そんな中、転機というものが訪れました。
オークション入会をサポートしていただける方と知り合えました。
入会サポートを生業としているワケではなく、個人の車屋さんの方です。
自分の気持ち的にも、このまま何もしないで老いていくのはあまりにも惜しい、と日々感じていたところで、近ごろは加速度的に時間の流れが速く感じようになり、気づけばあっという間に70代になるのかなと感じています。
そうなる前に…
あのときこうしていれば、ああしていればよかった…
なるべくなら、あとからそんなことを思いたくない人生を過ごしたい。
そうした気持ちが原動力となり、とりあえずやってみようかと軽い感じで決めました。
失敗してもいいかなと。
私には1つ思い描くことがあって、それはとにかく車が乗れなくなる前に色々な車に乗っておきたいんです。
この気持ちは20代の頃からありました。
今は40代、車を維持するにはお金がかかるので、経済的にも車を所有できるのは多めに見てもあと30年位。
その30年の間にどれだけの車に乗れるのか?よく考えます。
普通の乗り方?で5年に1台乗り換えても、あと6台しか所有できません。
こう思うと、凄い少ないなって感じてしまうんです。
私の感覚が特殊なのでしょうけど、もっとたくさんの車に乗ってみたい。
この想いを実現するのに、オートオークションの会員になるのはまさにうってつけなわけです。
気になる車を購入し、たくさん乗ることができたら素晴らしいことです。
資金は全くないので高い車は当面買えませんが、それでも気になる車はたくさんありますから。
最初に自主規制300psを突破したKB1レジェンドとか、初期型のレクサスGS450とか。
商品車として仕入れるからには最低限キレイにして販売しようとか、色々なことを模索中です。
話はそれましたが、そういった気持ちが私の中心にあって、やってみようと思った次第です。
で、通常業者オークションへ参加するには下記を求められることが大半だそうです。
- 古物商許可証取得後1年経過
- 実店舗を保有していること
- 連帯保証人が必要
一介のサラリーマンの私には実店舗など有しているはずもなく、普通に考えたらオークションの会員になどなれません。
しかしこれら入会の条件がとても緩い会社も存在するとのことで、今回はその会社を教えてもらうことができました。
2社教えていただきましたが、その中の1つは昔中古車屋でバイトしていたとき、その中古車屋も利用していたところでした。
古物商の取得
教えていただいた2社とも、基本的には古物商許可証さえあれば入会可能とのこと。
1年経過を待たずとも、古物取得後はすぐに入会申請できるようです。
そのうち1社は保証人が必要になる可能性が高いそうですが、それはなんとかします。
まず、どのオークションに入会するにしても、古物商許可証がなければ話にならないので早速取得に向けて動きました。
古物商許可証は警察署で発行できます。
お住まいの地域の管轄の警察署です。
申請はタダではありません。19,000円かかります。全て証紙代です。
ちょっと高いな…
そう思うかもしれません。
ですが、これは一生モノです。基本的に未来永劫使えるモノです。
自分の人生、あと何十年あるでしょうか?
未来の自分への投資と思えば、そう高くはないと思います。
それと、警察署に行って「古物商取りたいんです」と言っても、これだけでは取れません。
色々と書類が必要になってきます。
管轄の区役所に行って住民票と身分証明書というものが必要です。
住民票はマイナンバーが記載されていないものを取得します。
これは選択制なのでマイナンバー記載した方がいいだろう、と思ってなんとなくチェック入れちゃう人もいそうですが、マイナンバーが記載されていると受け取ってはいけない決まり?があるようです。
警察署の担当のお姉さんから聞きました。必ず入れないでください、と。
それと身分証明書のことですが、これは免許証とか保険証とかそういった類ではなく、
過去に「犯罪歴はありません」「破産歴はありません」
というような身の潔白を証明する証明書のことです。こんな証明書もあるんですね。
警察も怪しげな人間には古物の許可は出せない、ということなのでしょう。
以上、2点を揃えてから警察署へ出向きます。
警察署に古物商許可証取得の為の書類が置いてありますが、事前にダウンロードして持って行った方が話は早いかもしれません。
私もそうしようと思ったのですが、プリンターの調子が悪く印刷できなかった為、仕方なく現地で記入しました。
そして警察署に行く前には、あらかじめアポを取っておいた方がいいです。
担当が不在とかよくあることらしいので。
当日アポなしで行ったら担当がいなくて待たされた、なんてことも普通にあるとか。
せっかく有給取って警察来たのに「担当不在だからまた後日来てね」ではやりきれません。
ここは電話しておくことを強くおすすめします。古物の担当は生活安全課です。
警察署では不可思議な対応をされることも多々あるかと思いますが、警察署はそれがデフォです。くじけないでください。サービス業ではありません。相手はあくまでも公務員です。
最寄りの警察署に行き、なんとなく殺伐とした雰囲気の中、生活安全課へと向かいます。
ノックしてドアを開けると一斉にこちらを見るお巡りさんたち。まるで悪いことをしたかのような気持ちになります。
その中から、先日の電話の主であろうお姉さんが対応してくれました。
この方が非常に親切で、記入用紙の項目を事細かに教えてくれて大変助かりました。
逆に事前に持っていかないでよかったかもしれません。
そんなこんなで申請自体はスムーズに終わり、40日後に改めて審査結果のご連絡をしますと。
当日は控えを持ってきてください。引き換えに許可証をお渡しします。とのこと。
ネットで調べると大体は40日もかからず、早ければ2週間前後なこともあるみたいです。
古物申請で苦戦するケース
聞いた話ですが、9割以上のほとんどの人は特に引っかかることなく、スムーズに古物の取得が可能だそうですが、
その中の1割未満の方で、なかなか許可がおりないケースもあるとか。
その大半が警察署での申請であれこれと聞かれて、あなたには許可は出せない。となることがあるそうで…。
これは完全に「運」だそうで、担当になった人次第でかなり変わってくるようです。
運悪く性格の悪い人に当たったりすると細かなところをチクチクと聞かれたり、重箱の隅をつつくような質疑をしてくるそうな。
あくまでウワサですが。
しかし、苦戦するケースがあることは事実だそうで、外国籍の方は取得できなかったと聞きました。
こういった面倒事はごめんだ、と考えている人は行政書士に相談して取得まで任せてしまうのもアリかもしれません。
その分、費用は嵩みますが…。
受領書を受けとる
申請が完了するとこのような受領書がもらえます。
連絡があったらこれと引き換えに、古物商許可証をいただけるというわけです。
「審査したのちにご連絡します。」とおっしゃっていましたが、
どんな審査をするのか?落とされる人はどの程度いるのか?
聞きたかったですけど、なんとなく怖くて聞けませんでした。
無事に審査が通過することを祈るばかりです。
かなりスムーズに事が運べば、午前、午後の半日でこの受領書受け取りまで進めるのかなと思います。
運が良かったのか?なにも苦労することなくここまでたどり着けました。
平日休みが取れない方でも、なんとか半日だけ時間を作れれば古物の申請は可能です。
古物商が取得できたら、またこちらに追記致します。
古物商許可証の受け取り
申請から1ヶ月、何も音沙汰なく、どうしたものかと警察署に連絡してみました。
「まだ申請中となってますので、もうしばらくお待ちください。おそらくもうすぐ結果が出ると思うので…」
受け答えの丁寧なお兄さんが電話口に出た。みなさんこうだといいいのに。
その翌日、連絡があり「許可が下りました。もう商売してもらって構いません。」
私「本当ですか?ありがとうございます。あとは許可証を受け取りに行けばいいんですよね?」
「それが許可証がまだこちらに届いていなくて。申し訳ないのですがあと少し待ちください。数日で届くと思いますので。」
許可証が届いた時点で連絡くれればいいのにと思いましたが、まあそういうマニュアルがあるのでしょう。ここは許可が下りたことを素直に喜んでおこう。
「受け取りには先日お渡しした受領書が必要になりますので、忘れずにお持ちください。」
もしかしたら紛失してしまう方もいるのかもしれません。
その数日後、許可証が届いたと再度連絡があり、受け取りに行きました。
ただ受け取るだけなので、何も問題ありませんでした。
これでようやく古物を取得することができた、と思うとちょっと感慨深いです。
トータルで取得するまでに1か月位かかりました。
これ、もうちょっとやり方を世間に周知した方がいいかと思うのですが、どうなんでしょうか。
商売したいと思っても、どうしたらいいかわからない人もたくさんいると思うのです。
とにかく、なんとかオークション会員になる為の大きな関門は突破できました。
これがあるだけでも、業販できるサイトやお店もあるので、後日記載していきます。
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