アメリカを代表する高級車メーカーの1つ、キャデラック。
先日20代半ば位の方と話していたとき、私のXTSを見て「この車は何ですか?」
と聞いてきました。
「キャデラックです」
私は少し誇らしげに答えました。
すると「キャデラックって何ですか?」と。
すかさず私は「アメリカの車です。ご存じありませんか?所謂アメ車です。」
いまいちピンときていない様子。どうやら車には詳しくないようだ。
「聞いたことはあるかもしれません…大きな車ありますよね?確か。芸能人とかが乗っているような」
私「それはおそらくエスカレードのことだと思います。」
「ああ~、そんな名前だった気がします。このエンブレムが凄く個性的ですね。佇まいにオーラがありますね。」
ご年配の方はキャデラック、リンカーンの名を出すとすごくいい反応がもらえるのですが、車を知らない現在の若者にはこんな程度の認知度なんでしょうね、キャデラックは。
そこでふと思いました。
自分自身もあまりキャデラックのことを知らないなと。
そこでキャデラックについて基本的なことから調べてみました。
アメリカの高級車・キャデラックのこと
まずはwikiに載っているような基本的なところから。
キャデラックは、アメリカの自動車メーカーであるゼネラルモーターズ(GM)の高級車ブランドです。キャデラックは、1902年にヘンリー・リーランドによって設立されました。当初は、高精度の部品を製造するための会社でしたが、後に自動車の製造に進出しました。
キャデラックは、初めて電動式セルフスターターを搭載した車を製造し、高級車としての地位を確立。1920年代には、キャデラックはアメリカで最も豪華な自動車の1つと見なされていました。
第二次世界大戦後、キャデラックは再び成功を収め、アメリカの高級車市場での地位を確立しました。1950年代には、フィンのついた流線型のデザインが特徴的なキャデラックが登場し、その後もさまざまな革新的なテクノロジーを採用しています。
現在のキャデラックの売り上げは?
現在、キャデラックは、クロスオーバーやSUV、セダンなどの幅広い車種を展開しています。また、電気自動車の開発にも注力しており、2021年には、ブランド初の電気自動車「Lyriq」を発表しました。
現在、キャデラックの最も売れている国は中国です。
2021年の第3四半期(7月〜9月)の販売台数は約5.8万台で、前年同期比で約46%の増加となっています。一方でアメリカでの販売台数は同期で約3.8万台であり、中国での販売台数がアメリカを上回っています。
自国のアメリカよりも中国、海外でよく売れているようです。
キャデラックが中国市場で成功を収めている理由としては、以下のような要因があるとされています。
中国市場の高級車需要の高まり
中国市場においては、高級車への需要が高まっており、世界的な高級車ブランドが積極的に中国市場に参入しています。キャデラックも、高級車市場に参入することで、中国市場における販売拡大を狙っています。
中国でのブランド認知度の向上
中国において、キャデラックのブランド認知度が向上していることも一因です。
キャデラックは、中国市場に参入する以前から、中国の映画やテレビドラマなどでしばしば登場していました。そのため、中国の消費者にとっては、キャデラックが「アメリカンドリーム」というイメージを持つブランドであると捉えられているようです。
中国市場における販売戦略の変化
キャデラックは中国市場において、より現地に合った販売戦略を採用するようになりました。
例えば、2021年には、中国市場向けに開発されたEV(電気自動車)「LYRIQ」を発表し、中国市場における競争力を高めることを狙っています。
これらの要因から、現在キャデラックは中国市場での販売拡大に注力しており、アメリカを上回る販売実績を収めています。
最も売れているのはエスカレード
現在キャデラックで最も売れている車種は、やはりというべきか、SUVのキャデラック・エスカレードです。
エスカレードは力強くも流麗なスタイリング、豪華な内装や高性能なエンジン、最新のテクノロジーなどが特徴で、アメリカをはじめ世界中で人気があります。
日本ではキャデラック=エスカレード
位の勢いで知名度が高いですね。都市部では走っている姿も多く見かけることでしょう。
エスカレードは大型のSUVであり、8人乗りのモデルもあります。エスカレードはアメリカの自動車市場において、ラグジュアリーSUVのトッププレイヤーの1つであり、キャデラックの看板車種となっています。
エスカレードは日本の芸能人にも好まれ、度々話題になります。
志村けんさん亡き後、愛車のエスカレードが弟子である千鶴の大吾さんに譲渡されたのは記憶にある人もいるのではないでしょうか。
- 藤原竜也:俳優。エスカレードに乗っている姿が、テレビや雑誌などで度々取り上げられています。
- ローラ:モデル、タレント。自身のインスタグラムなどでエスカレードに乗っている姿を公開しています。
- 山本裕典:俳優。複数のインタビューで、エスカレードを所有していることを明かしています。
- 藤田ニコル:モデル、タレント。テレビ番組で、エスカレードに乗っている姿が放送されました。
- きゃりーぱみゅぱみゅ:歌手。自身のインスタグラムに、エスカレードに乗っている姿を投稿しています。
ほんの一例ですが、これらの著名人たちはエスカレードの高級感と存在感を評価し、愛用していると言われています。
また、エスカレードはアメリカなどでのラッパーやアスリートなど、ヒップホップカルチャーやスポーツカルチャーとも深い関係があり、それが日本でも影響を与えていることも考えられます。
アメリカのロールスロイスと評される
アメリカのロールスロイスと呼ばれているキャデラック。
キャデラックは創業以来、高級車市場で重要な役割を果たしてきています。
その豪華なデザインや高品質な車両性能、先進的なテクノロジーなどで、アメリカの高級車市場において、常に一定の存在感を持っています。
また、キャデラックはアメリカ自動車産業の先駆者の1つであり、自動車史においても重要な役割を果たしてきたブランドの1つでもあります。
電動スターター、V8エンジン、パワステ、エアコン、障害物センサー、ナイトビジョン、など、
これらの装備はいずれもかつてキャデラックが初採用した装備です。今では当たり前の装備も、元を辿るとキャデラックに行き着く装備が多くあります。
キャデラックのセダンは売れない?
エスカレードばかりが注目されるキャデラック。
では他のモデルはどうなのか?
キャデラックと言えばセダンを思い浮かべる人も多いはず。
現在、キャデラック製のセダンはセールスが好調とは言えない状況にあります。
キャデラックのセダンが販売不振となっている理由は、複数の要因が絡み合っています。
SUVやクロスオーバーSUVの台頭
現在、アメリカ市場での自動車需要は、SUVやクロスオーバーSUVが主流となっています。
高い位置からの運転席や、広い荷室など、SUVが持つ利便性やスタイリングが多くの消費者に支持されており、セダンの需要が低迷しています。
品質や信頼性への不満
過去にキャデラックのセダンには、品質や信頼性に関する問題が報告されたことがあります。このような報告があることが、消費者に不安を与え、セダンの販売に影響を与えた可能性があります。
車種のラインナップの限定性
キャデラックは、セダンのラインナップを減らし、SUVやクロスオーバーSUVに注力する方針を打ち出しています。このため、セダンの選択肢が限られてしまい、消費者がセダンを選ぶ機会が少なくなってしまったことが影響していると考えられます。
ブランドイメージの問題
キャデラックのブランドイメージが、過去から現在に至るまで変化していることも、セダンの販売不振に影響を与えているかもしれません。
一時期は、高級車ブランドとしてのイメージが確立されていたキャデラックですが、その後、一部の車種については、スポーティーなデザインやコンセプトが強調され、若年層の購買層にアピールする方針に変更されました。
この変化が、従来のキャデラックの購買層との乖離を生み、セダンの販売に影響を与えた可能性があります。
以上のように、キャデラックのセダンが販売不振に陥った理由は、複数の要因が絡み合っていることがわかります。
キャデラックは今後、セダンに関する戦略を見直し、需要を喚起するような新しい提案を行っていくことが求められています。
品質面での具体的なクレーム
特に、1990年代後半から2000年代前半にかけて、キャデラックの車種には品質に関する問題が報告されました。
具体的には、電気系統やエンジン、トランスミッションなど、様々な部分でのトラブルが報告され、オーナーたちは費用と時間をかけて修理を受ける必要がありました。
これにより、一部のオーナーたちからは、キャデラックの信頼性に対する不満が高まりました。
キャデラックが過去に品質面で問題があったとされる事例の一つに、エンジンオイル漏れがあります。
1990年代後半から2000年代前半にかけて、キャデラックの車種でエンジンオイル漏れが多く報告され、特に北米地域で問題が顕著でした。
この問題は、一部の車種でエンジンに採用されているガスケットが劣化してしまうことによって引き起こされ、劣化したガスケットがオイル漏れを引き起こし、エンジンオイルが漏れ出してしまうことが原因です。
この問題により、オーナーたちはオイル漏れの対処のために何度もディーラーや修理工場に持ち込む必要があり、繰り返し修理を受けることになりました。
私の乗っていたDTSも終始、オイル漏れには悩まされました。年代問わず、ノーススターエンジンはオイル漏れがデフォルトのようなものです。
また、トランスミッションの問題も報告されています。
例えば、2003年に発売されたキャデラックCTSでは、トランスミッションの問題が報告され、低速から高速にシフトするときに不自然な音がする、シフトが遅い、トランスミッションの変速が固いなどの不具合が報告されました。
これらの不具合は、過去にキャデラックが抱えた品質上の問題の一例であり、今では改善されていますが、当時のオーナーたちには多大な迷惑をかけたことは事実です。
しかし、キャデラックは品質面での改善に努め、2010年代以降、多くのモデルでJDパワー社の「Initial Quality Study」などの品質調査で高評価を受けるようになりました。
また、最近では、革新的なテクノロジーや高級感あふれる内装デザインなど、魅力的な特徴を持つモデルを多数リリースしており、消費者からの評価も高くなっています。
アメリカで最も売れている高級セダンブランドは?
アメリカで最も売れているセダンは残念ながらキャデラックではありません。
現在、アメリカで最も売れているのは、メルセデス・ベンツSクラスです。
アウディA8やBMW7シリーズも人気がありますが、Sクラスは高い品質、洗練されたスタイリング、豪華な内装、最新のテクノロジーなど、ラグジュアリーセダンの魅力的な要素をすべて備えており、アメリカ市場において非常に人気があります。
一方でキャデラックCT6は、販売台数が伸び悩んでおり、Sクラスや7シリーズ、A8などのライバルに比べて、アメリカ市場においてはあまり売れていません。
レクサスLSは、アメリカでの大衆的なラグジュアリーカーとしての認知度は高いものの、販売台数では他のライバル車に比べてやや劣る傾向があります。
キャデラックCT6が売れていない原因は、いくつかの要因が考えられます。
まず、Sクラスや7シリーズ、A8などの競合車種に比べて、CT6のブランド力が弱いことが挙げられます。
アメリカ市場においては、メルセデス・ベンツやBMW、アウディといったドイツの高級車メーカーのブランドイメージが非常に高く、ラグジュアリーカーとしての認知度が高いため、CT6といったアメリカ車のラグジュアリーカーは、ドイツ車に比べて認知度が低いとされています。
また、CT6には、ドイツ車に比べてエンジン出力や加速性能が劣るといった点があるため、パフォーマンス志向の消費者からの支持を得ることができない可能性もあります。
さらに、SUVが主流となっている現在のアメリカ市場において、セダンの需要が低迷していることも売れ行きの悪さに影響していると考えられます。
特に、CT6が展開するフルサイズセダン市場においては、SUVの人気に押されて需要が減少しているとされています。
しかしセダンという括りを外せば
- キャデラック・エスカレード – 33,615台
- リンカーン・ナビゲーター – 17,839台
- メルセデス・ベンツCクラス – 16,515台
- テスラ・モデル3 – 14,430台
- メルセデス・ベンツGLEクラス – 12,401台
- BMW X5 – 11,359台
- BMW X3 – 11,192台
- メルセデス・ベンツEクラス – 10,843台
- ジープ・グランドワゴニア – 10,417台
- ジープ・グランドチェロキー – 9,311台
以上のようになり、アメリカ車が奮闘しているのがよくわかります。
アメ車好きにはエスカレードとナビゲーターの売れ行きがいいのは嬉しくなります。
JDパワーが調査したキャデラックの品質の高さ
JDパワーの調査は、自動車業界において非常に権威のあるもので、消費者にとっても重要な情報源となっています。
そのため、調査結果は自動車メーカーにとっても非常に重要であり、品質改善に取り組む上での指標となっています。
例えば、キャデラックがフルサイズプレミアムセダンカテゴリーで第1位を獲得した「US Initial Quality Study」では、問題項目数が100に対して、キャデラックの平均問題数は83で、業界平均は166でした。つまり、キャデラックの初期品質において問題が発生する割合が非常に低いことを示しています。
また、キャデラックが中型SUVカテゴリーで第1位を獲得した「US Vehicle Dependability Study」では、新車から3年経過した車両を対象に、100の問題項目についてのオーナーの意見を集計しています。この調査では、3年間で発生した問題数が少ない車種が高い評価を受けます。キャデラックがこの調査で第1位を獲得したことは、キャデラックの信頼性が高いことを示しています。
ブランドの知名度がないのが残念
日本におけるキャデラックの決定的な弱点は販売網の少なさにあると思います。
購入しようにも買える店舗が圧倒的に限られてきます。
店舗がないということはメンテナンスもできず、買ったはいいけどフォローができない。ということにもなりかねません。
日本ではこれといったPRもせず、知る人ぞ知る車メーカーになってきています。
その上、日本では高級外車と言えばドイツのイメージがかなり強く、そこに割って入るのはかなり困難でしょう。
キャデラックはラインナップも限定されているので、ラインナップが豊富なドイツ勢と比べると太刀打ちできません。
車としての出来栄えは決して悪いものではなく、いい車が人目に触れられていないというこの状況がとても勿体なく感じます。
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