「アメ車はよく壊れる。」
こんな言葉をよく聞きます。輸入車をお乗りの方であればアメ車に限らず、外車は壊れやすいとか、すぐダメになるとか、色々言われることかと思います。
特に米国の車に関しては他の輸入車よりも風当りが強いのか、一層言われる言葉のように思います。
今日はそんな私の、愛すべきアメリカの車の故障体験談を交えてお話ししようと思います。
アメ車=壊れる。何故?
アメ車に誤解がある
まず本題に入る前にこの話をさせて下さい。
アメリカの車と聞いて何を連想しますか?
特に車に詳しくない人であれば、おそらく何も浮かんでこないだろうと思います。
昨今、日本市場の輸入車はメルセデス・ベンツとBMW、この2つが大きなシェアを握っています。
アメリカの車は今やベンツとBMWの影に隠れきっている存在です。
最近知人や友人にアメリカの車はどんな車があるか知ってる?と尋ねたところ、
「ロールスロイス?」
「ジャガー?」
「全然知らない。興味ないから。」
と、こんなものです。
キャデラックも、リンカーンも、フォードも、クライスラーも、名前すら出てきません。
とにかく認知度が低いのです。アメリカの映画にはこれでもか、と言っていいほど良く出ている車達なのに。
対して、車に詳しい人はなんだか危なそうなイメージを持っているんじゃないかと思います。
アメ車に乗っている人はコワモテで少し裏社会に顔が効いてて、なんだかちょっと近寄りがたい…
そんなイメージだと思うのですがどうでしょうか?
アメ車のカスタム手法の1つにローライダー、というカスタムがあります。
車高を下げて、13~14インチのホイールを履かせる。最終的にハイドロを組んで車体を跳ねさせ、周囲にアピールする。
このローライダーのカスタムを見てしまうと、いかついオーラがムンムン漂ってくるので、確かにちょっと近寄りがたい感じにはなります。
アメ車のショップなどはもともとそういった雰囲気を備えてるお店も多く、私でも行き難い場所ではあります。
ですけど、そんなローライダーの人達と話すと意外な程?いい人ばかりだったりするんです。
いつもなら話しかけづらいような人でもお店でちょっと話してみると、すぐに打ち解けられる人が多く、明るいノリでポジティブな気分にさせてくれる方が多い。
何が言いたいかと言うと、みんなアメ車のことを誤解してるんじゃないか?と私は思うのです。
認知度が低いので正確な情報が出回っておらず、ウワサが独り歩きしている、そんな風潮があります。
「アメ車は壊れるからダメだ。」 「アメ車は燃費が悪いからダメだ。」
こう言っている人に限ってアメ車に乗ったことがないんです。
私の経験から、実際アメリカの車は日本車に比べると壊れやすいのは事実ですが、それはどの輸入車も同じではないでしょうか?日本車が壊れなさすぎるのです。
アメ車=壊れる。
この図式を作り上げたと思われる環境の一因に、90年代初めころだったかと思うのですが、シボレー・アストロ等のアメ車が大流行したことがありまして数多くの車両が輸入されました。
しかし悪徳業者が走行距離を改ざんしたり、壊れた車両をそのまま売ったりして粗悪なアメ車が多く出回ってしまい、後々の評判を悪くしてしまいました。
これが原因の一旦を担っている可能性はあると思ってます。
もともとアメリカの車は年2~3万kmは普通に走ると言われていて、3年落ちでも10万km超えの車両は珍しくありません。
日本では何かと距離数を気にするので、そのままではなかなか買い手がつかない。
3年落ち10万kmなんて、普通はあまり買おうとは思いませんよね。だからメーターを巻くのです。輸入車だし素性があやふやなので、当時は多くの業者が当然の如くメーターを巻いてたという話です。
壊れたのではなく、壊れていたのです。最初から。
その悪しき風潮は今は少なくなりましたけど、ゼロではありません。
高年式で距離も少なく、相場よりかなり安いアメ車は疑いましょう。特に並行輸入車は気を付けて下さい。
壊れる定番パーツ・部品
そろそろ本題に入りたいと思います。
キャデラックDTS、リンカーン・タウンカーと乗り継ぎ、知人やショップなど様々な情報を得た経験の中から、メーカーの隔てなく、一般的によくここが壊れやすい。
という部分やパーツを挙げていきます。
アメ車が買いたい。だけど維持できるか心配。故障が怖い。
そんな人達の為に、この項目を頭に入れておけばなんとなく安心できるかも?
油脂類の漏れ
これは定番中の定番。
エンジンオイル漏れ、クーラント漏れ、ATFも漏れるしパワステオイルも漏れます。
この症状はアメ車に乗るなら覚悟してください。あまり気にせず、漏れ止めを入れるなりして上手に付き合って下さい。
完治させようと思うと、とんでもない金額になることもありますので。
あまりにひどい場合は当然修理が必要になりますが…。
例:キャデラックDTSのパワステオイル漏れ
原因:パワステホース劣化による付け根からの漏れ。
対処:パワステホース交換。
金額:約5万円。(工賃込)
ウインドーレギュレーター
突然窓が開かなくなったり、閉まらなくなったりします。
以前代車で借りたフォード・フォーカスの窓が走行中、突然ストンと下まで落ちました。そのまま上がらず。
急ぎ、代わりの車を用意してもらいました。
「あ~よくありますよ、この故障は。しょうがないですよ。」
当時のフォード工場長がニコニコしながら語っていたのをよく覚えている。
レギュレーター部品代で大体2~3万程度。工賃1~2万程度でしょうか。
エアサス
特にフォード系のエアサスは弱い印象がある。
タウンカー、コンチネンタル、ナビゲーター、みんな壊れる。消耗品として割り切りが必要。
あまりの壊れやすさに社外品でバネサス変換キットがある位壊れる。
故障した場合はエアサスコンプレッサーも交換した方がいい場合も。
ここは故障すると高価で、工賃込で10万~位は考えていた方がいいだろう。片側のエアサスだけがダメになっても両側交換するのがセオリー。
エアサスはゴム製品であるので、ゴムの経年劣化によって遅かれ早かれ必ず壊れる。
ゴム類のへたり
これはキャデラックで痛感しました。
整備履歴を追うとエンジンマウントは過去3回変えてある。しかも同じところ。
自分が乗ってから1回変えている。キャデラック伝統のノーススターは熱がこもりやすくてゴム類のへたりが早いそうだ。
アストロやタウンカーのアイドラ・ピットマンアームや、各種ブッシュ類にも注意をしておきたい。
エアコンコンプレッサー
これも定番か。ガスが抜けていったりしてエアコンが効かなくなってくる。
コンプレッサーが焼き付いてしまうと重症。
コンプレッサーが壊れてしまうと高額な修理となるため、ヤフオクなどで購入して、状態のいい物を1つ持っておいてもいいかもしれない。
オルタネーター
これもよく聞く話です。突然、なんの前触れもなくメーター内のバッテリーのようなマークが点灯しだしたら危険。
オルタは突然壊れる。
目視ではバラさないと判断が難しいので、気になったらオルタネーターの電流量や充電量のチェックをおすすめする。
オルタネーター故障の体験談
オルタネーター故障には非常に苦い思い出があります。
当時タウンカーに乗っていた私はeBayで250AMPの社外強化オルタネーターを購入し、意気揚々と自車のタウンカーに取り付けた。
最初は窓の開閉が早くなったりして喜んでいたのだけど、ある日事件が起きた。
友人と福島にある友達宅へタウンカーで向かい、その帰りの道中のこと。
確か蓮田SAを過ぎた辺りだったかと思う。いきなりメーター内のバッテリーマークが点灯し、
ん?なんだ??
と思った瞬間、全ての警告灯が一斉に点灯。
同時にハンドルが急激に重くなり、効かなくなる。
そこは東北道。しかも深夜走行中で時速は80kmで走行しているところの出来事。本当に死を覚悟した瞬間だった。
幸いなことに1番左の車線を走行していたため、重たいながらもなんとかステア操作をして、ゆっくりと路肩に移り速度を緩め、ハザードを出して停車した。
後ろに後続車がいないのも救いだった。
ボンネットを開けてみるとファンベルトがズタズタに切れていてクーラントは吹き出ている。
よくよく見てみるとオルタネーターのプーリーが変な方向に曲がっている。ななめ45度位に。
当然自走などできるはずもなく、レッカーを呼んで今は無きフォードのディーラーに運んでもらった。
私と友人は夜も遅かったので、レッカーの後から来たパトカーに乗って近くの駅まで乗せてもらい、なんとか無事に帰宅することができた。
後日、フォードディーラーの方に原因を聞いてみるとやっぱりオルタネーターが原因だった、と。
軸が完全にロックしてしまって動かない。別のオルタネーターに変えるしかない。
だけど走行中にオルタがロックしたなんて聞いたことがない。稀に見るケース。と工場長の弁。
レッカー代と2個目のオルタネーター代とで10万円を超えてしまった痛い事例。
不幸中の幸いでオーバーヒートしたにも関わらず、エンジン本体は無傷だった。エンジンが歪むかと思ってたけど。
「オーバーヒート位じゃアメ車のエンジンはダメにならないよ。」と言っていた。
アメ車のタフさと弱点を同時に思い知った出来事でもある。
それから安価な社外品を買うのはやめて、重要部品は高くとも必ず純正部品を使うことにしている。
もっと速度を出していて中央車線を走行していたら、本当に危なかったかもしれない。今思い出してもぞっとする出来事だった。
まとめ
少し話が長くなってしまったけどアメ車のトラブルでパッと思いつく故障を挙げてみました。
中でもオイル漏れに関してはデフォルト位の気持ちがないと乗れません。ハッキリいって。
でもこれらのネガティブ要素があっても乗りたくなってしまう。そんな魅力があるのが輸入車であり、アメ車なんです。
世界は広いけれど、あんなに巨大な車を作ってるのはアメリカしかない事実。
個性の塊、と言われる所以でしょう。
押し出しの強いフェイスに無骨で力強いデザイン。
どこの車かわからないけど一目でアメ車だ。と、製造国がわかる車はそうそうありません。
長い人生、1度位はどうでしょうか?
きっとあなたのアメ車を見る目が変わることと思います。
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