現在メインで私が乗っている愛車、07’キャデラックDTSです。キャデラックブランドでかつてフラッグシップ・セダンとして君臨していた車です。現在は新型のキャデラックCT6に変わっています。
かなり大型のセダンで全長約5.3・幅約1.9mあります。国産ではセンチュリーとほぼ同等のサイズです。4.6リットルV8エンジンは力強く、踏み込んだ時のエキゾーストサウンドもアメ車のそれを彷彿とさせます。室内も広く、この巨体でFFなので後席はFR駆動よりもスペースがあります。
ここでは私の愛車についてお話します。
キャデラックのフラッグシップ
・ドゥビルからのマイナーチェンジで数々の装備を一新
2006年、キャデラック・ドゥビルDTSのマイナーチェンジ車として日本でも発売。
大幅に外観・室内デザインに変更を加え、モデルチェンジと見間違う程に変貌を遂げた車がこのDTS。外観はドアのみそのまま流用されたとされている。エンジンとATはそのままV8・4.6リットルと4速AT。
この時期のキャデラックのノーススターエンジンは基本設計は90年代頃と変わらないものの、熟成を重ねに重ねて非常に完成度の高いエンジンと評判が高い。
昨今のキャデラックは設計・開発段階からニュルブルクリンクで鍛えたという足回りで、ドイツ車さながらの乗り味を提供してくれるのだけど、このDTSは昔ながらのフワっとしたキャディライドを残している。かといってフニャフニャというわけではなく普段乗りでは適度な硬さ。という印象。
その足回りはGM得意のマグネティックライドサスペンションを装備し、このシステムはアウディでも採用されている。
1000分の1秒という速さで路面からの衝撃を感知してダンパーの減衰力をそのつど可変させる。ワインディングでは各ホイールの減衰特性を算出し、ハンドリングと乗り心地を向上。荒れた路面では瞬時にスムーズな乗り心地を維持する。
アメ車の進化を伺える車
私がリンカーン・タウンカーから乗り換えた直後の感想は、アメ車とは思えない。だった。
それは乗らずともそのたたずまいからなんとなく感じられた。外観は繊細でありながらアメリカンテイストをうまく残しつつ力強さも同時に感じられるデザイン、足回りは適度な柔らかさを残したまま、ツーリングセダンとしても楽しめる腰の強さも兼ね備える。
ボディ間のチリ合わせも1mm以内として国産車さながらの精密さ。
そして2010年、キャデラックDTSは、JDパワー・アンド・アソシエイツ社の「2010年自動車信頼性調査」において、業界で最も信頼性の高い大型高級車として選ばれた。
JDパワー・アンド・アソシエイツ社の自動車信頼性調査は、米国市場をベースとした年に1度の調査で、通常の保証期間が終了を迎える頃における自動車の品質と信頼性を評価する。5万2,000名以上のオーナーにアンケートを行い、購入から3年が経過した自動車(2007年型車)について、過去12ヶ月間で何らかの問題が発生したかどうかを調査した。キャデラックDTSでは、100台あたりの問題が76箇所で、業界最少となった。
先代のドゥビルや一昔前のアメリカの車とは別物、と言ってもいいでしょう。
調べていくと元々アメリカの車は非常に優れた車として過去に称賛されていた時期もあったようです。
今では輸入車と言えばベンツ・BMWが高級外車としての地位を築いているのはご存知の通りだと思う。
それが日本でも以前はアメリカの車が高級外車として庶民とってに憧れの存在であった。という歴史がある。
例えば昔のクラウンのデザインでとてもアメリカンなデザインのモデルがある。それはアメリカの車をリスペクトしているがゆえの表れでもあった。
このDTSは過去の栄光を取り戻せるだけの、これまでのネガティブイメージを払拭することのできるだけの力を備えていることは間違いないと断言する。それだけよくできている車だ。
走りと室内空間の優雅さを両立
力強いエキゾーストサウンド
かつてGMの頂点に君臨していたこの車はもちろん、最高の乗り味を提供してくれる。それもあらゆるシーンで。
キャデラックブランドの特徴として、どのモデルもドライバーズカーとして使用しても楽しめる車、としてたびたび挙げられることがある。それはこのDTSも例外ではない。
このクラスの車になると大体が走りよりも乗り心地に重きを置いた設定になってくる。それはVIPを乗せる上で当たり前のことで、豊かな乗り心地を提供するのはこのクラスの宿命。
DTSは普段走行するときはとても静かで、リアシートに座る重役や要人を満足させる。
しかし一度アクセルを踏み込めばグワっと加速し、GM特有のエキゾーストサウンドを奏でながら力強い走りを見せてくれる。
これはGM車に乗ったことがある方ならばわかってくれると思うが、踏み込んだときのあの「音」がDTSでも聴ける。
明らかに意図的に設定されているとしか思えないこの演出。私はここが1番のお気に入りポイント。イヤでも気分が高揚する。
レクサスLSに乗っても、ベンツSに乗っても、BMW7に乗っても、この感触は味わえない。(強いていえば7シリーズに近いのだろうか)
FFレイアウトで広大な後席
ビッグセダンでありながらFF。この特異なレイアウトのおかげでセンタートンネルがなく、室内後席の足元はかなり広い。
仮にFRであったとしても室内空間に関しては少しも不満はなかっただろうと思う。
助手席を1番後ろに下げれば足を延ばしながらの着座も可能。それでいてその状態からでも後席に人が座ることができる。逆に1番前にポジショニングすれば後席の広さはより圧倒的なものになる。
車体そのものの横幅があるため、室内幅も大きくとられており大柄な人が座っても不満はない。
これはどこの車メーカーにもない、巨大な車体サイズを有するアメリカの車だから実現できることだ。
ちなみにDTSは横幅が1.9m。私が以前乗っていたリンカーン・タウンカーは2mあった。タウンカーは後席に大人3人が余裕で座ることのできる、本当に広い車だった。
室内の各種アメニティ装備も充実
室内の快適装備もこのクラスにはなくてはならないもの。
トライゾーンオートエアコンは運転席、助手席、後席でそれぞれ独立して温度設定が可能。運転席、助手席にはシートヒーター/クーラーが備わっている。シートクーラーは背中が暑いときには冬でも快適な座り心地を提供してくれるので大変便利。
そしてフロントシートにはマッサージ機能まで備わる。リアシートには設定がなく、ヒーターのみ。この辺りドライバーズカーとしてのブランドの考えが出ているのだろうか。
そのほかクルーズコントロール、メモリーシートといった定番の装備はもちろんのこと、ステアリングヒーター、電動リアサンシェード、遮光バックミラー、リバース連動サイドミラー、センサー式パーキングアシスト(障害物が近づくと音と光で知らせる)、エンジンオイルライフセンサー、バッテリーマネジメントシステム….などなどたくさんの装備が充実している。
故障ポイント
油脂類、クーラントの漏れ
アメリカの車の定番トラブル。真っ先にエンジンオイルが漏れ出す。ディーラーから聞いた話ではあるが新車1年目でもエンジンオイルが漏れた個体がある、と聞いた。
キャデラック自慢のノーススターシステム・エンジンはとにかくエンジンオイルが漏れる。
私のも駐車スペース、オイルパン下付近のアスファルトは常に漏れたオイルで汚れている。
しかも一旦漏れてしまうと完治させるのに高額な修理費がかかる。
理由は必ずと言っていいほど漏れるポイントがあり、そこにアクセスするためにはエンジンとミッションを脱着して切り離さなければならないから。残念ながら他に手段はない。
タペットカバーからの漏れはまだかわいいもので、そのポイント、確かリアクランクシールだと思ったけど、そこから漏れてしまうとエンジンおろし→ミッション切り離しの工賃だけで車検3~4回分のお金がかかる。
なのでDTSに乗られている方は放置している人がほとんどだ。とヤナセ談。
漏れ止めも各種試してはみたけど止まらない。進行は遅くなるかもしれないが。
キャデラックのオイル漏れについてこちらの記事で詳しく調べてみました。
エンジンオイルよりも気を付けなければならないのがクーラントの漏れ。これが漏れ出すと走行不能に陥ってしまうので、この車に限らず、発見した場合は早期に修理したい。
ノーススターシステムのクーラントは漏れやすい場所が数か所あるとのことで、エンジンオイル漏れに次いで発生する故障の1つとしてよく挙げられる。
1つの箇所を直してもまたすぐに弱っているところから漏れ出すという非常にやっかいなトラブルに発展しやすいので、怪しいところはまとめて全部交換・修理してしまう方が良い。
お金はかかってしまうけど、必要経費と思って諦めるほかない。
例としてヤナセで弱点の1つであるウォーターポンプの交換見積もりを取ると約13万~14万程かかった。
作業内容により更に上乗せされる可能せいがある。他店でも何件か見積もりを取ったが、どこも10万前後はかかってしまうようだった。
マウント類の劣化
エンジンマウント
非常によくあるトラブル。フロントエンジンマウント、などと呼んでいるらしいけど車体正面側のラジエターファン後方付近にあるエンジンマウントがよくちぎれやすい。
ちぎれると車体が段差などで大きくバウンドする。ちぎれていてもリフトアップしなければ目視で確認できないため、そのまま乗ってしまってることが多い。
ちぎれたまま走行を続けるとハーネス類が無理に引っ張られたりするため断線する可能性がある。これも発見したら早急に交換しておきたい。
私の個体は新車時の記録簿が残っている。それに目を通してみると新車時から4年目で1回、6年目で1回、私が購入してから1回変えているので、計3回も変えている。
それだけ負担がかかりやすいところなのだろう。走り方によっても寿命は変わるとヤナセは言っていた。
トルクマウントストラット
エンジンとミッションを連結させている部品のブッシュもよくちぎれる。
大きく断裂しているのがわかると思う。これもこのまま放っておくとエンジンの振動が増大し、他に悪影響を及ぼすので要交換。
点火系
イグニッションコイルの劣化
これはキャデラック全体で比較的よく見られる。
イグニッションコイルの経年劣化でスパークに火花が飛ばなくなる現象。診断機を通すとミスファイアのコードが検出されたら、大体がこのコイルかプラグ・プラグコード。
またはエンジン内の汚れ(カーボン)が蓄積してうまくスパークしてくれない。のどれか。
エンブレムの色あせ
故障というほどではないけどフロントエンブレムの色あせ・色とび、ホイールキャップの色とびもしばしば見かける。
特にフロントエンブレムの退色はキャデラック車全般に言える。紫外線に弱い塗料でも使っているのだろうか。
・故障・修理とはうまく付き合う
やはり国産車と比べると故障する率が高いのは認めざるをえないところ。
何でもかんでも直そうとしていると多額の費用がかかることもあるので段階を踏んで修理したり、今年はココ、来年の車検のときにココ、など期間を決めて修理して故障そのものを楽しむのも?車を楽しむコツと言えるのではないか。
不調だった部分が新しくなって復活したところを見て楽しめるのは私だけではないはず…。
故障したところを修理するにあたり、eBayをうまく利用すれば安く修理することも可能なのでチャレンジしてほしい。
格式高いセダンはグローバル化の先駆け
今ではキャデラックのエントリーモデルであるATS、EセグメントにあたるCTS、このDTSの実質の後継車種であったXTS、どれもグローバル展開を見据えて開発されたモデルで特に中国での売り上げを伸ばしていると聞く。
実際に現行ATSを試乗したところ、かなりの完成度に驚いた。
ドイツ車、国産車レベル並にキッチリ作られていた。
キャデラックDTSはこれらの車種の先駆けであったといってもいいと思う。
今までの古いスタイルを捨てて新しい時代の風を取り込もうとしたその意欲が感じられる。
古さの中にあるイイところと、キャデラックらしい先進性が見事に融合している。
国内ではあまり宣伝されなく、販売が振るわなかったのがあまりに惜しい車だ。
もっと国内でもキャデラック、ひいてはアメ車を評価する動きがあってもいいのではないかと、常々思っている。
この記事をご覧いただいたあとに街中でキャデラックを見かけ、ちょっとでも魅入ってしまったのならとても嬉しく思います。
コメント
[…] タイヤ空気圧センサーに注意!空気を補充したらリセットを! […]
[…] 個人的には効果が体感できたので参考にしてもらいたい。当然車種によって効果は異なるし、効果の保証はできないのであくまでも参考程度に。この記事の車はキャデラックDTSだ。 […]
[…] これはキャデラックDTS。新車時からの整備記録簿が全て残っている(多分)のだけど、1度もATFを交換した記録はない。キャデラックDTSのATは4T80Eという、エンジン同様、10年以上も前から使われている機構をブラッシュアップさせ続けて使っきたAT。 […]