アメリカ車と言えばV8エンジン。
私が車に興味を持つ前、いや、産まれる前からアメリカ車=V8エンジンという構図が成り立っていた。
近年のGMが持つV8エンジンの印象をより深くさせてくれたであろうエンジンユニットが、キャデラックに搭載されている「ノーススターシステム・エンジン」
現行のキャデラックには残念ながら搭載されておらず、今はダウンサイジングが進んで市場のメインユニットは直4+ターボ、もしくはV6が主流となってしまった。
ここでは惜しまれつつも時代の波に消えてしまった、ノーススターV8エンジンの種類について記載していきます。
キャデラックのV8エンジン「ノースススター」
概要
ノーススターエンジンは93年、キャデラック・アランテに初めて搭載されました。
特徴としてオールアルミエンジンであることや、なんらかの不具合で冷却水がなくなってしまっても車両を運行させることができるシステム、キャメルモードと呼ばれるシステムを備えている。
冷却水が完全に失われた場合でもエンジンの運行を続けられるような機能が搭載されている。キャメルモードでは、シリンダーを互い違いに止め(ガソリンの燃焼を止めるだけでシリンダーの機械的な動きまで止めている訳ではない)、その休止状態のシリンダーを介して空気を循環させることで、動作中のシリンダーや他のエンジン部分を空冷する。これにより、エンジンのオーバーヒートを避けながら、低出力ながらも車の運行を継続することができるようになっている。
Wikipediaより
また誤解されがちではあるけど正確にはノーススターエンジンと呼称するのは誤り。
ノーススターと言うのは車両全体を制御している「ノーススターシステム」を指し、これはエンジン・トランスミッション・サスペンション・ブレーキ・車載コンピュータからなる。
車載コンピュータがこれらの要素を統合制御することで車の安全性を向上するためのシステムで、ノーススターエンジンとはそのエンジン部分を指します。
しかし「ノーススター・エンジン」という呼び名が日本では一般に知れ渡っており、ディーラーでもこの呼称で使っていることから、あながち間違いとは言えないのかもしれない。
L37<1993~2011>
最大出力:218kw/6300rpm
最大トルク:390Nm/4500rpm
ボア×ストローク:93mm×84mm
圧縮比:10.0:1
搭載車種:アランテ・エルドラド・セビル・ドゥビル・DTS・(ビュイック)ルサーン
ノーススターシステム・エンジンの始祖。登場は1993年で2011年の長きにわたって愛用されたエンジン。
当然93年の物をそのまま使い続けていたわけではなく、年々ブラッシュアップし続け完成度を高めていきました。
そのアイドリング時の静粛性の高さは折り紙付き。アクセルを踏めばGMらしい力強いサウンドを奏でるのも魅力。アメ車感を強く感じられる。
LD8<1994~2007>
最大出力:205kw/6000rpm
最大トルク:400Nm/4400rpm
ボア×ストローク:93mm×84mm
圧縮比:10.0:1
搭載車種:エルドラド・セビル・ドゥビル・DTS・(ポンティアック)ボンネビル・(ビュイック)ルサーン
L37と基本的には同様のエンジンでこちらはトルク重視型のエンジン。ウワサではL37とLD8を比較すると、こちらの方が瞬間的なスピードが早いとか。
LH2<2004~2010>
最大出力:239kw/6400rpm
最大トルク:427Nm/4400rpm
ボア×ストローク:93mm×84mm
圧縮比:10.5:1
搭載車種:SRX・XLR・STS
L37、LD8が横置きに対してこちらは縦置き搭載のノーススターエンジン。縦置き搭載する為に設計変更を行ったそうだ。
上記2ユニットと比べて世代が新しく、連続可変バルブタイミングを採用し10.5:1という高圧縮比を実現させ、出力が全体的にアップしているのも特徴。
LC3
最大出力:350kw/6500rpm
最大トルク:595Nm/3900rpm
ボア×ストローク:91mm×84mm
圧縮比:9:1
搭載車種:STS-V・XLR-V
4.4リットル、スーパーチャージャー仕様のモンスターエンジン。スーパーチャージャーはイートン社製。476ps、60.1kgを発生させ、それまでのVシリーズでは歴代最高のパワーを誇っていた。100km到達するのに5秒未満、キャデラックのパワーを体感するのにはうってつけだ。今なら中古で狙うのもいい選択なのかもしれない。
L47
最大出力:186kw/5600rpm
最大トルク:353Nm/4400rpm
ボア×ストローク:87mm×84mm
圧縮比:10.3:1
搭載車種:(オールズモビル)オーロラ・シェルビーシリーズ1
キャデラック以外にも搭載されたノーススターエンジンがこのL47。オールズに載せる為に再設計されたもの。
この他に「ショートスター」と呼ばれる2気筒ドロップさせたV6ユニットも存在。(LX5)
これらすべてのエンジンは現在では絶版で、製造されていないのが本当に残念。味わいたいのならば中古で入手するしか方法がない。
最新型のキャデラックのエンジンは正規輸入車では直4とターボ、またはV6が主流で、出力的には過去のV8モデルと同等かそれ以上のパワーを発揮させて全く不満はない。
けれどこれがアメ車なのか?と問われるとなんだか欧州寄りになりすぎていて、アメ車特有の個性が希薄になっているエンジンなのもまた事実。
今後もこういったV8エンジンがリリースされていくことをファンとしては望むところだけど、時代背景を考えるとそれも難しそうだ。
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