2ドアでさえ全長5メートル超えの車….。
そんな車達が、かつてアメリカではごく普通に走っていた時代があった。
超個性的な外観を与えられ、全長は6メートルにも迫ろうとする圧巻のスケール、車幅は2メート前後が当たり前、伝家の宝刀V8エンジンによる迫力あるエキゾースト。
人々はいつしかそれを「フルサイズ・セダン」と呼ぶように。
今も昔も多くの根強いファンがおり、愛好家の方々によるミーティングなども開催されている。
しかし現代では車にも「エコ」が声高に叫ばれ、環境性能に乏しいフルサイズセダンは反社会的な扱いを受け、時代の流れと共に少しずつ淘汰されていった。
燃費の良い車が飛ぶように売れ、プリウスが世界中の大ベストセラーカーに。
もはや巨大なボディに大排気量のV8エンジンが時代遅れなのは火を見るより明らか。
リーマンショック後のGMは車のラインナップを見直し、車のリストラを次々に行った。売れないメーカーの廃止・売却、販売の振るわない車種の統廃合を進め現在に至っている。
私が以前乗っていたリンカーン・タウンカー、キャデラックDTSは2011年をもって生産を終了。
アメリカンV8・フルサイズセダンの終焉は我々ファンの間では大きな衝撃だったと同時に、時代の移り変わりを身をもって体験した出来事だった。
だけど2012年後半、一筋の光明が見えた。それが「キャデラックXTS」のリリース。
アメリカでは同年に販売を開始、つい先日生産終了が発表されたのが非常に残念でならないけど、キャデラックXTSのリリースは新しいフルサイズの可能性を見せてくれた。
DTSの次はXTS….そう思いながら日々を過ごし、いつか乗れる日を夢見みていました。
日本では早々に正規販売を終了、キャデラックCT6の登場によってその存在は知る人ぞ知る、といった車になってしまいました。
そんなキャデラックXTS、今回巡り合わせとタイミング、全てがいい方向に重なり、購入することができました。
ここではそんなキャデラックXTSを、レビューを中心に触れていきます。
キャデラックXTSのレビュー
ヤナセが独自輸入したフルサイズ
キャデラックXTSは日本では2013年1月に販売を開始。
少々特異な販売形態が取られました。それは何かと言うとGMジャパンは販売に一切関わっておらず、ヤナセグローバルモータースが独自に輸入し、販売に踏み切った。といういきさつがある。
フルサイズと表現しつつも、往年のフルサイズセダンと比べるとかなりコンパクトでエンジンもV8ではない。
それでも全長5,130 全幅1,850 全高1,510に達し、
この大きさに近いセダンとなるとレクサスLS、ベンツSクラス等、各社のフラッグシップ級のセダンに匹敵する。
以外にもキャデラックCT6よりもわずかに小さい程度で、車体の寸法はほとんど同じ。
DTSでも全長5,300あったのに対しても往年のフルサイズ、とは正式には言えないのかもしれないけれど、 実車を目の当りにするとやはり大きいなあと実感。
写真ではそれほどのボリュームを感じないのが不思議。
「キャデラック XTS Platinum」は、キャデラック「STS」「DTS」の後継を担いつつ、 全く新しいコンセプトで 2012 年に米国で発表・発売された、キャデラックのフラッグシップセダンです。 ヤナセグローバルモーターズは、FF(前輪駆動)レイアウトのフルサイズ 4 ドアセダンを愛用するお客さまの ニーズに応えるため、日本への導入を決定。独自にキャデラックのフルラインアップを完成させました。
https://www.yanase.co.jp/pdf/pdf_view.php?SID=27&TYPE=press
ヤナセでは、キャデラックXTS導入の狙いにドゥビルやDTS等を長く愛用していらっしゃる方も多く、その方達に向けての需要を満たそうと導入に踏み切った、と以前お話しを受けました。
しかし問題もあり、GMジャパン取り扱いの車ではない為にヤナセが日本での正規インポーターとはいえ、並行輸入車という形での取り扱いになってしまう。
これによる弊害として日本語のマニュアルがないこと、車両メーターやナビ周りのディスプレイの表示言語が日本語に対応していないこと(日本語ではない)、部品が日本には基本的に無く整備に時間がかかってしまうことなど、今思えばGMジャパンを通して入ってきたキャデラックが愛おしく思える。XTSはアメリカで走っている車をそのまま持ってきました、のような雰囲気がある。
キャデラックXTSの特徴
V6・3,6リッターエンジン、308PS、トルク36,5kg
数字だけ見てしまうとやはりインパクトには乏しい。
しかしそこはキャデラック。実車の放つオーラはアメリカの文化が生んだラグジュアリーカーそのもの。強烈な存在感は健在。
キャデラックは先進技術をいち早く導入することで知られている。
IT技術を車内に持ち込んだキャデラックCUEは1番の特徴。
安全面では衝突の危険を感知するとシートを振動させてドライバーに知らせる「セーフティーアラートドライバーズシート」
「車線逸脱警告機能」は白線に寄り過ぎてしまったとき、寄った側のシート座面がブルブルと振動してハっとさせられる。とても効果的。
サイドミラーに死角をとらえる「サイドブライドゾーンアラート」は現在では装着されている車も増えてきた。
そしてキャデラックXTSはFFである。FFがもたらす後席空間の広さはDTSで私も体験済み。
走行性能
前述のようにキャデラックXTSはV6・3,6リッター、カタログ値308PS最大トルク36.5kgと、数値だけ見ればあまり驚くようなポテンシャルは持っていないように見受けられる。
比較するとキャデラックSTSの最終型は同じくV6・3,6リッターに311PSと最大パワーで言えば全くと言っていい程同じ。
パワーはあればある程個人的には嬉しいのだけど、私達フルサイズファンが求めているのはそこではなく、所謂キャディライドがどれ程残されているか?ということの方が重要。
各著名人の方の試乗レビューは今までに大抵読み漁った。
しかし、そのどれもがなんとなくしっくりこないというか、大まかにはわかるけど「この人あんまりキャデラックのことを知らないな」
という方もいたり、仕事でレビューしました感アリアリな、言ってしまえばこれでお金もらっているんだなと。まあ仕事だから乗りたくない車も頼まれれば乗らなければいけないのだろうけど。
その方々のコメントを統合するとXTSはフワフワで足が柔らかく、乗り心地はいいけど飛ばす気にはなれない。と、こういったもの。
著名人の方々がどこまで本当のことを言っているのか?やっと自分で確かめるときがやってきたことに喜びを禁じえませんでした。
私は25歳の頃、’98モデルのリンカーンタウンカーから始まり、代車などを含めると’03タウンカー、’03グランドマーキス、フォーカス、アストロ、ソニック、キャデラックATS、キャデラックCTS、キャデラックSRXクロスオーバー、キャデラックDTSと数々のアメ車にたくさん乗ってきました。
上記以外にもありますが、感触を覚えている程長い時間を乗らなかったので省きます。
車屋を営んでいたりしている業界の方ならいざ知らず、一般人でここまでアメ車に漬かっている人もそうそういないのでは?と自画自賛してみます。
それで肝心のキャデラックXTSの走りですが、
陸送の方が自宅に届けてくけれて自宅内の駐車場に止める、というのが最初にハンドルを握ったときでした。
ステアが軽い。まるでタウンカーのように軽い。率直にそう思いました。
前車SRXクロスオーバーが中々硬質なハンドリングだったので、余計にそう感じるのかもしれません。
タウンカーと同等、とまではいきませんがそれでもかなり軽いと思います。悪く言えば路面との接地感に乏しい、ともとれるのですが。
そして期待と少々の不安を胸に、一般走行の為に街中に繰り出しました。
結果、感動しました。
DTSと乗り味がよく似ていたのです。 DTSを手放してから早1年、馴染みのある感触が戻ってきた、と。そう思いました。 フワっとした感触は往年のキャディライドを彷彿とさせます。
SRXクロスオーバーよりは柔らかく、DTSよりは固い、といった感じ。
昨今のプレミアムセダンは足並みを揃えたかの如くみんな固めのセッティングで、少しやりすぎではないか?とする意見も散見される程、スポーティな味付けに振っている風潮がありますが、
そんな中でこのキャデラックXTSはそんな風潮などどこ吹く風、といった感じで我が道を行っています。
穏やかで肩肘を張らないでいられるこの乗り味は、間違いなく乗員に快適な空間を提供できています。
キャデラックXTSにはマニュアルモード付きのAT6速が備わり、シフトレバーをDからMにすればスポーツモードに切り替わりパドルシフトで変速できるようになります。
このスポーツモード、ただパドルシフトで変速制御できるだけと思っていたらそうではなく、ちゃんとそういった雰囲気作り、スポーティな味付けに変更できるという隠れた?機能も。
具体的にはステアが重くなったり、足が引き締まって車両の上下動がノーマルよりも収まる。
車のキャラクター的に極端に変化するわけではないけど、車を楽しむという点では面白い部分。
乗り心地に関して、20インチという大径ホイールのせいか路面のでこぼこを拾い、ゴツゴツ感はあります。それでも20インチ、ということを考えれば十分に優秀な乗り心地ではあります。
エンジンフィールはアクセルを踏めば即座に鋭くグっと前に車体を押し出す俊敏性もあり、鈍重なセダンというわけではありません。どちらかと言えば高回転型のエンジンのようなので、回せばそこそこ楽しめます。
ただ、踏み込んでもV8のような重低音とは程遠く、乾いた高音交じりの音を響かせます。あ~V6エンジンだな、という感触。
その回して発揮したパワーをブレンボのブレーキが強烈に受け止めます。
ガチっと止まります。これはもはやアメ車の域を完全に超えています。アメ車のブレーキは中々止まらない印象なのですが、XTSに限っては全くそんなことはありません。むしろブレーキングのタッチが良すぎてちょっと難しい位。
ATSも同じ傾向にありました。俊敏で、ブレンボのパワーでスピードを押し殺す感じ。
街乗りではどこまでもフワっとした乗り味を提供してくれましたが、高速走行になるとまた違った印象です。
中速を越えた辺りで明らかに車体の上下の挙動が収まります。マグネティックライドがしっかり仕事をしてくれています。
DTSはマグネティックライドがどこでどう効いているのか全くわかりませんでしたが、第3世代?のマグネティックライドは裏方に徹するのではなく、表舞台にも少し顔を出すようになったようです。
極端に足が固くなるのではなく、あくまでもソフトタッチなのは変わらず、街乗りに比べると少し締まっているな、というレベルに留まります。
ステアフィーリングも高速域ではクイックに反応するようになり、これもまた街乗りとは違う顔を覗かせます。
驚いたのがコーナリングで車体を水平に、ロールを抑えてフラットに保とうとします。
連続したコーナーでも車体があまり沈まず、ビシっと走ります。横Gは常に受けているのでその分体が外側に持っていかれるのは当たり前なのですが、車体はビシっとしてます。
タウンカーはロールのオンパレード。DTSはなんとか頑張っていました。ATS、SRXクロスオーバーは固めた足で踏ん張っていました。
XTSはソフトな足なのにロールせず….なんとも不思議な感覚です。
この要因がサスペンションセッティングの賜物なのか、マグネティックライドが頑張ってくれているのかは私にはわかりませんが、ともかく今までの車とは違います。
らせん状の道路を走るとより顕著にわかります。体があまり横に振られないので凄く快適です。
エクステリア
キャデラックXTSのデビュー年は本国では2012年。ほぼATSと同時期にデビュー、新世代の、現行型にも通じるこのキャデラックのデザインはATS、XTSから始まったと言ってもいいでしょう。
縦型の吊り上がったヘッドライトはSRXクロスオーバーでも採用されていました。
伝統のキャデラックテールは健在、トランクの横長に走るハイマウントはキャデラック製のセダンであることを主張。
ホイールは20インチのポリッシュ、部分的にクロームフィニッシュされているスポークをあしらい、煌びやかさに華を添える。
プラチナムはエクスクルーシブグリルという専用デザインのグリルを装備、マフラーエンドはスクエア形状の埋め込み型。
キャデラックXTSは夜間のライティングも美しい。サイドミラー下部にあるスポット照明で乗員足元を柔らかな光で照らし、夜間の乗り降りをサポート。ドアハンドルに内蔵されたLEDが発光し、高級感と幻想的な装いを醸し出す。
現代の流行りなのか、セダンであってもクーペルックなフォルムでCピラーが極端に寝ている。その分トランクの開口部が犠牲になってしまっているけど奥行きは十分。ヤナセいわくゴルフバッグが縦に4つ入るとのこと。
インテリア
キャデラックXTSの最大の特徴はインテリアにある。
夜間の室内の光の演出はお見事としか言いようがない。
ウッドトリムの隙間、間接照明による淡いアンバー色の光は室内を豪華に、けれども派手過ぎない上品な雰囲気でまとめてくれる。
シート色(グレーに近いホワイト色)とも相まって暗すぎない室内空間を提供してくれる。
そして今ではおなじみとなったキャデラックの統合制御インターフェースである「キャデラック・CUE(キュー)」(キャデラック・ユーザー・エクスペリエンス)はATS・XTSを皮切りに今日のキャデラックに順次搭載された。
エアコン・オーディオ・ナビ・車両設定などなどの機能をインテイリア中央のディスプレイでスマホのアプリ感覚で操作でき、先進装備を扱っているという未来感を堪能できる。
エアコンの温度・風量調整、オーディオのボリュームコントロール、ナビの操作、シートヒーター・クーラー、車両の細かな調整、これらの操作は全てスマホを操作するようにタッチパネルにてタッチ操作やスワイプ操作で設定・調整する。
この時ディスプレイに触れると指に微振動が伝わるので選択、実行したかどうかがわかりやすくなっている。
メインディスプレイの下段にあるタッチパネル部は裏に隠し部屋があり、ちょっとした小物入れとなっている。これも特定の箇所に触れることで自動でオープンする。
メーターは液晶表示のフルデジタルとなり、エンジンONでのCGによる華やかなオープニング映像がキャデラックをこれから運転するんだ、という気持ちを昂らせてくれる。
メーターの表示形式も4種類のフォーマットから選択でき、それぞれのデザイン内で細かく設定できる。タイヤ空気圧やオーディオの表示、TRIPや燃費計、自由にカスタマイズが可能。これだけでもかなり遊べそうだ。
HUD(ヘッドアップディスプレイ)も装備され、メーターへ視線移動せずとも現在どの位の速度が出ているのか?や、今流れているオーディオ楽曲のタイトル名、エンジン回転数、それぞれ確認ができる。こちらもある程度自分で表示内容をカスタムできる。
スピーカーはBOSEサラウンドで深い低音が楽しめる。シート肩口には2個のサラウンド用スピーカーが備わり、スピーカー数は総数14個となっている。
設定で選べるBOSEセンターサラウンドはSRXクロスオーバーの時にも採用されていた。純正オーディオながらダッシュボードへの音像が強調されて、質の高いオーディオが楽しめる。
ナビはヤナセ取り扱いのXTSであればオプションで日本製のナビが選択できるのですが、このナビはアルパイン製のHD55で2013年で更新が終了してしまった古いナビ。
2013年更新終了ということはヤナセがXTSを販売した年に更新が終了してしまったという、なんともタイミングの悪いナビ。元は2006年辺りのHDDナビなので、古さは当時から否めなかったろうと思います。
購入したXTSもHD55が装着されていましたが、道音痴の私はその古さに嫌気が差しストラーダF1-XVDを装着しました。
普通の作業であれば装着できないのですが、専用のインターフェイスを使用してCUEのモニターを分解、直接配線にストラーダの映像信号を割り込むことで純正のような使い心地を実現させています。
ストラーダ用のディスプレイは一切使用せず、CUEの画面でタッチ操作する。これは本当に凄い技術だなあと思います。難点は高いということ。
これは時間があれば個別に記事にします。
静粛性
現代でこのクラスの車であればよく装備されているのが、走行音や風切り音などの騒音を意図的に社内のスピーカーからノイズを出し、騒音を打ち消して聞こえにくくする。
そういった技術が装備されていますが、キャデラックXTSも装備されています。
そういったノイズを打ち消す技術抜きにしても、XTSの静粛性・遮音性は中々高いレベルにあると感じます。
少なくともこれまでに乗ってきたアメ車の中では1番静かです。
車外からの音を遮る純粋な遮音性能はさすがと言えます。DTS、SRXクロスオーバーと乗り継ぐ毎に静かになる気がします。エンジンの静粛性もそこそこ高いですね。
ただ1つだけ言わせてもらうとすれば、ロードノイズがややうるさい、ということ。
これはホイールが20インチということもあり、大径ホイールはロードノイズが大きくなる傾向にあるので覚悟はしていましたが、他が静かなだけに耳につきます。
SRXクロスオーバーのときもロードノイズは耳障りでしたが、もしかしたらそれよりもうるさいかも?といった感じ。
ホイールハウス内に起毛素材を使うなど、一応最近の遮音技術を採用して気は使っているようなのですが、あと1歩及ばず、といったところ。
ロードノイズに関してはレグノを履かせるなど、静粛性に評判の高いタイヤを使うのが最も効果的ではあるのですが、それはまた考えることにします。
キャデラックXTSのここがダメ
電動格納ミラーがオプション扱い
これには驚きました。納車した直後にわかったことなのですが、なんとキャデラックXTSのサイドミラーは手動折り畳み式でした。
一体何故?DTSもSRXクロスオーバーも電動だったのに….。
車から降りる毎に毎回手動でパタンと閉じなくてはならない。
自宅であればまだしも出先では困ってしまう。1番困りそうなのが狭い路地でのすれ違い等でミラーを閉じなければやり過ごせない時。今から恐怖しています。
このことについて、ヤナセと懇意にしているアメ車に精通している業者の方に聞いてみたところ、ヤナセでは手動と電動の車両が混在しているとのこと。何故混在しているのかはわからない、と。
業者の方は数年前に自社で販売したXTSは電動だった、と。
その方いわく、アメリカでは電動格納に全く重きを置いていないので、向こうの人達にとってはどうでもいい装備なのだとか。
広いアメリカ、ミラーを畳む文化などないということか。
CUEの使い勝手が悪い
見た目は未来感があってスマホライクな操作ということもあり、ビジュアル的にもカッコイイ、操作してカッコイイ、というオーナーの所有欲を存分に満たしてくれるキャデラックCUE。
だけどこれが結構使いづらかったりする。
まずタッチの反応、パネルの応答がやや鈍く精度も少し悪い。
触れたのに触れていないことになっていたり、その逆も然り。
次に慣れないとどこに何があるのかわかりづらい。
従来の車のインパネであるボタン式はその車に乗り慣れてしまえば、ステアを握る手を放してなんんとなく指を伸ばして、インパネの方を注視せずともエアコンの温度を下げたりできたものですが、
キャデラックCUEはカッコイイ操作とデザインが逆に仇となり、サッと操作することが難しいのです。
例えばオーディオのボリュームを上げ下げしたい、といったとき、メインディスプレイ下部のオーディオボリュームを司っているシルバー色のバーを指で触り、フリック動作で上げ下げするのですが、
CUEのディスプレイを常に見ていなければ音量を上げすぎたり下げすぎたりしてしまう。
従来のボリュームボタンを何回押したとか、ダイヤル式であれば何回左右に回したか、といったように直感的にわかりやすかった動作ではないので、走行中のCUE操作はちょっと危なっかしいなと感じる場面も。
なのでステアリングに備わっているコントロールボタンで選曲したりオーディオの音量を上げ下げする方がよっぽど早いし、楽。
エアコンの吹き出し口の変更や、ACのON、OFFの切り替えもCUE内の操作で行わなければならず、いちいちCUE画面をエアコンに切り替えるのも面倒。
ナビゲーション動作中にエアコンの動作変更を行うのにわざわざナビ画面を抜けて、エアコンの設定画面から操作、それでまたナビ画面に切り替える。
土地勘の無い慣れない道でこんな操作を旅先で何度も頻繁に行う可能性が出てくると思うとイヤになる。
進化途中のキャデラック
こんな言葉がXTSにはピッタリだと思う。
キャデラックCUEはまだまだ改善の余地を感じたし、リリース当初は本国でも不具合だらけだったらしい。実際後発の現行キャデラック組に搭載されているCUEはかなり良くなっていると聞く。
日本ではキャデラックCT6の存在で結果的にあまり明るみにならなかったXTSではあるけど、確実にイイ車だと胸を張って言えます。
キャデラック、と言えばハイウェイを飛ばさず、大海原を泳ぐクジラのようにゆったり、穏やかに走る車だと思っています。
キャデラックATSやCTS、SRXもイイ車なのは間違いないけど、アメ車の本筋を捉えているのはやっぱりキャデラックXTSだと言えます。
おおらかな乗り味はドゥビル・DTSにも通じる部分があるし、旧来仕様のキャデラックかと思えばそれでいて先進技術もたくさん盛り込み、その気になればそこそこ走り、オーナーに華を添える側面も持ち合わせている。
余談ではあるけど、本国ではVスポーツと称してツインターボ410PS仕様も存在します。日本にも少数入ってきているのか、ごく稀に中古のタマを見かけます。
もしキャデラックCT6のリリースがもう数年遅かったら、XTSの日本でのセールスも今より良かったのかもしれません。
コメント
ついついコメントしたくなりました。キャデラック xts v-sport乗っています。多分日本に数台ある程度です。同じxts乗りとしてコメントしたくなりました。お互い大事に乗っていきましょう!
コメントありがとうございます。
V-SPORTいいですね。カーセンサーでしか見かけたことありません。
すれ違いはおろか、街中で見かけることもないXTS、もっと売れてもよかったのでは?
と思ってしまう程イイ車です。