愛車であるキャデラックXTSの走行距離は72,000kmを超えました。
7万km前後からフロントの足回りからゴトゴト、ゴキゴキと金属がこすれる?当たるような鈍い異音が出始め、加えてリアショックもオイルが漏れているということが発覚。
オイル漏れは車検に通らない為に交換を余儀なくされました。
ショックの交換は高額になるので、できれば交換しないまま10万km位まで持たせたかったのですが、不具合が出てしまっては交換しないわけにはいきません。車検にも関わることなので。
車検のことだけ考えていればリアの交換だけでよかったのですが、フロントの異音は本当に我慢できない状況にまで悪化してしまっているので同時に交換です。
思えば純正ショックの交換はおよそ10年ぶりのこと。リンカーン・タウンカー以来です。
あの頃は独身で自分のお金は湯水の如く使えました。ショックの交換も2回行いました。今では夢のような話です。
交換後の劇的な変化を楽しみましたが、またあの感動を味わえると思うと楽しみで仕方ありませんでした。お金はかかるのですが….。
今回はそんなショック交換のレポートをお届けです。
純正ショックを交換する意味
そもそもあまり交換されない部品
サスペンション系はそもそもあまり交換を必要としません。
エンジンオイルやブレーキパッド、ワイパーブレードなど、車を使用する上で比較的交換の頻度が高い消耗品は多くありますが、サスペンション類に関してはスルーされています。
交換スパンは長く設定されていますがサスペンション周りも消耗するのです。
サスペンションを構成している部品、例えばタイロッドのブーツなどのゴム類や、ハブベアリングも長く乗るのであれば交換する場面が出てきます。
ブーツ類はヒビ割れていたり破けていたりすると車検NG。
ハブベアリングは劣化するとゴーゴー、ゴロゴロと走行する度にイヤな音が聞こえてくるようになります。最悪自走不能にも。
ここで例に挙げたそのどちらもすぐに悪くなることはなく、10万kmに差し掛かるか、もしくは車齢が10年近くなるあたりで交換の必要性が出てくるようになります。
他の消耗品に比べると寿命が長く、頻繁にメンテナンスする必要性もない為に軽視されがちに思えます。
特にブーツ類は車検見積り時に点検して初めてヒビ割れや破れなどの不具合が発覚するケースがほとんどではないでしょうか。
交換スパンが長く、ショックがヘタっていたりブーツ類やマウントがダメになっていてもとりあえずは走れてしまうし、交換には多額の費用が発生する。
こういった背景から交換の機会は少なく、新車購入であれば1度も交換することなく乗り換えてしまうこともあるでしょう。
ショック交換で乗り心地が良くなる
ショックを交換しなくても、ブーツがちぎれていても車は走れます。
お金もかかるし、別に交換しなくてもいいんじゃないか?
車検指摘時に言われたところだけ交換すればいいんじゃないか?
こういった考えも全然アリです。
ですが愛車を一層大事にしたい、と思うのであれば是非ともショックのリフレッシュは検討していただきたいのです。
お金はかかりますが劇的な効果が望めます。
私は高年式だけど年式のわりには距離を走っている、という中古車を購入することが多く、購入したときには既に10万km近いという車も数台乗ってきています。
そういった経験もあり、これまでに3台の愛車のショックをリフレッシュしてきました。
結果としてどの車もドライブフィールが見違える程良くなった、ということを申しておきます。
どのように良くなったか?端的に言うと
・突き上げがマイルドになった
・車体の揺さぶりが減った
・カーブでよく踏ん張るようになった(ロールしない)
交換したことでこの3つの効果を如実に体感することができます。
特に中古車購入の場合、新車時の乗り味に近づけることができ、その車本来の乗り味を体験できるのは言うまでもありません。
この車って本当はこんなに乗り心地が良かったんだ、実はカーブで結構踏ん張るんだな、など本来の姿が見えてきます。
車好きな方であれば愛車の本当のスペックは知りたいところでは?
純正ショック交換の実例
フロントから異音、リアからオイル漏れ発生
あるとき愛車を走らせているときに異変を感じました。
フロントのサスペンション付近からゴキゴキ、ゴトゴト、ゴツゴツといったような鈍い音が鳴っているのを。
時折フロアまでその振動が伝わる位、鈍く重い異音です。
それも常に鳴っている状況でごく低速、10~20kmで走行中でも発生。
ちょっとでも車体が浮き沈みすると「ゴトン」となるのです。
逆に高速走行の方が調子がいい位。
今までもたまに左右のサスペンションがバタバタとするようなうねった路面などでゴリゴリ鳴っていたことがあったのですが、それがひどくなったような印象。
これはただ事ではないと感じ、行きつけのヤナセ芝浦へ出向いて点検してもらうと
「ショックが抜けていて、それが原因の可能性が高い。」とのことでした。
何かが緩んでいる、外れているとかそういったことはなかったようなのでそこは一安心。
ハッキリとは断定できないものの、これまでの経験からショックの抜けからくる症状で交換しなければ改善されないでしょうと。
しかし7万km付近でそんなにヘタるものなのか….
リアショックもオイル漏れがあることを確認し、このままでは車検に通るかすら怪しいとの見解で交換するのであれば4本同時がベストであると。
キャデラックXTSは特殊な事情を持つ車で、GMジャパンが正規で輸入した車ではなくヤナセが独自に輸入していたという経緯があり、
どんな見積もり内容を取ってもまずはGMジャパンにお伺いを立てて、そこから初めて見積もり額を算出できるので単純に「見積もり下さい。」と言っても最長で1週間は待たされてしまう。
ヤナセでは部品単価がわからないそうです。自分達で輸入したのに満足に見積もりも出せないとは….なんだかなあという感じです。
そんな面倒なルートを通ってやっと手元に来た見積り額を見てみると、なんと約85万というとんでもない金額が記載されている。
程度のいい軽なら買えてしまいます。
ある程度は覚悟していましたが、ここまで高いとは….。
ここで本来の「新車でキャデラックXTSを乗れるユーザー層」であればポンと払ってしまうのかもしれませんが、サラリーマンの私にそんな財力はありません。
なのでここはいつもの個人輸入で部品を買い付けて交換します。
見積もりに記載された部品番号を元に自分で必要な部品をアメリカから輸入。
あとは届いた部品を持ち込みOKなショップに持って行って交換するだけ。
結果的に総額で約23万程で収まりました。
それでも車検1回分位はかかってしまったので安くはありませんでしたが、85万と比べるとかなり安く抑えられ、輸入した達成感も高いです。
足回りの機能が見違える程に
交換後、愛車の足回りは見違える程になりました。
まず初めに感じたことは突き上げ感がマイルドになったことです。
お願いしたショップの駐車場から出る際の小さな段差、路面の凸凹から伝わる衝撃が和らいでいるのをすぐに感じました。
これはショック本体だけの交換ではなくてアッパーマウントも一緒に交換した恩恵があるものと考えています。
取り外したショックを見せていただきましたが、アッパーマウントはそれはもう石のようにガチガチに硬化していて新品とはまるで別物。
マウントには弾力が全くなくて驚きました。これを新品に変えただけでも乗り心地がだいぶ変化しそうだなあと。
次にショップの駐車場を出てしばらくすると信号があります。
信号で停車したときの車体のノーズダイブが抑えられていました。
停車時は車体が前傾して完全に停車したとき、2~3回ユッサユッサと車体が前後にそれほど大きくはないのですが揺れます。
FFでフロントが重いしラグジュアリーカーだからこんな味付けの足なんだと思っていましたが、この挙動が小さく、前後の揺り返しも揺れ幅が小さくなりました。
ショック本体の減衰力が正常に戻った為に本来の乗り味に戻ったのでしょう。
それからしばらくはなだらかな道が続いて新品の乗り心地を堪能できたのですが、やはり突き上げ感に丸みが出たのを体感できます。
ここが交換前とは大きく異なる乗り味です。細かな段差や凸凹は特にカドが取れました。
最後にバイパス道を走行して80km前後の高速走行時、路面に追従してスーっと走るような上下動の少ない乗り味が増したのを体感しました。
キャデラックXTSにはGMお得意のマグネティックライドサスペンションといって、磁性流体サスペンションを採用しています。
1000分の1刻みで路面の状況を感知し、速度や走行状況と合わせてほぼリアルタイムで減衰力を自動調整してくれるシステムが備わっています。
交換したことでこのシステム本来の挙動を取り戻したような、そんな感触です。高速で走るのがより気持ちのいい車になりました。
交換でショップ側も驚くほどの変貌
交換後、ショップ側が試走してくれたそうですが、私が車を引き取りに伺ってショップ店長と顔を合わせたとき
「さっき走ったんですけど凄い乗り心地いいですね!ビックリしちゃった!」
と開口1番に言われました。
そこは車種問わず何でも扱うショップです。常に色々な車に触れています。
そんなショップに乗り心地がいい、と評されるとなんだか誇らしい気持ちに。
合わせて
「取り外したショック見ますか?4本共抜けきってましたよ。リアなんかオイルでビショビショです」
とも。
今までショックの減衰力なんか無いに等しかったのかもしれません。
ヘタりきったショックを交換するとプロの整備士も唸る位乗り心地が変わる。
ということが実証できたかもしれません。
サスペンション類の交換は多額のお金がかかり、気になってもなかなか着手できない部分ではありますが、その分の見返りは大きなものだと確信しています。
今の車に乗り換えてから1年とちょっと経ちますが、ここまで乗り味が変わるならもっと早くに交換しておくべきだった。と少し後悔しています。
コメント