中古で車を購入するとき、覚悟しなければならないことがある。
それがショック(ストラット)の交換である。
新車購入でも長く乗れば交換時期は来るのですが、中古車に比べると縁は遠い。
中古車である以上、新車と比べると経年劣化が進んでいるのは当然の話。
ショックは車の消耗部品として、割高になってしまうTOP3位に入るのでは?
できれば交換せずにカーライフを送りたいところですが….交換したときの感動は別次元です。
お金をかけるだけの感動は味わえます。もっと早く換えておけば….そんなことも思うかも?
ここではショックにまつわる不具合や交換時期についてお話します。
ショックの交換時期について
走行距離を目安に交換を考える
車は消耗品のカタマリです。
その中でも足回りは車検に関連する部位が多く、車の中でも特に重要な部分。
車検時に~ブーツに亀裂が入っているから車検に通らない、とか
ブッシュがヒビ割れていてグリスがにじんでいるからNG、とか
安全に走行するよう定めた車検要項に絡む要素が多く、シビアな感覚を持っているユーザーも多いのでは。
ゴム類に関しては厳しく目をつけられがちですが、ショック本体に関してはあまり厳しくないのが現状です。
基本的にオイルが漏れていなければOK。
オイル滲み程度であれば車検時にふき取れば、検査に通ってしまうのがほとんどのようです。
滲みではなく、あきらかに滴るレベルの漏れであれば車検にも通りませんので、早めの交換が望ましいです。
ショックアブソーバーは消耗品であるので、オイルが漏れていなくともある程度の年月経過・走行距離を走ったら交換するのが一般的です。
よく言われているのは大体7~10万kmに達する程度の走行距離で交換するのが得策とされています。
年月よりも走行距離で交換を考えることの方が多いですね。
ショックを交換しないとどうなるのか?
消耗品であるとは言ったものの、明確に定期交換をするように定められた部品でもありません。
オイル漏れ等の外見上に異常がなければ、車検はそのままパスできます。
車検に限って言えばいつまでも交換しなくても平気なのですが、なぜ交換しなければならないのか?
それは劣化すると乗り心地の悪化を招くからです。
道路は必ずしも平坦な道ばかりではありません。
緩やかに上がり下がりを繰り返したり、凸凹していたり、高速道路なんかは継ぎ目もあります。言われずともご存じでしょうが。
そんな上下の揺さぶりや、路面からの突き上げからくる車体の「跳ね」をショックアブソーバーがうまく抑えているのです。
足回りの主な構成部品にショックアブソーバーの他にスプリングも存在していますが、
ショック無しのスプリングだけの足だといつまでもボヨンボヨンと跳ね続けて収まりません。
路面からの衝撃を受けたタイヤがスプリングに伝わり、衝撃(エネルギー)を車体に伝えまいとして逃がそうと伸び縮み、過度な伸び縮みの動きをショックアブソーバーが抑制する。
簡単に言えばこんな仕組みになっているはずです。
交換しないでそのまま使い続けると抑制しようとする働きが機能しなくなり、車体の上下動の動きが収まりにくくなります。
これがショックの劣化です。
ショック劣化・不具合の一例
目に見えてわかる劣化・不具合は前述したようにオイル漏れです。
漏れは非常にわかりやすく、放っておくとショック全体が油でヒタヒタに汚れてきます。
多くはその漏れた油に汚れを付着させて表面が黒っぽくなってきます。
漏れに気づいたときにはそのような状態になっている場合が多いです。
次に乗り心地の変化です。
上下の揺さぶりが収まらず、車体がゆっさゆっさと揺さぶられがちになります。
新車から長く乗っていると変化もわかりますが、中古車を購入してすでに距離が伸びているような個体だと、劣化の度合いは中々判断が難しいと思います。
ですので、中古車を購入するときは足回りと関連するブッシュ類を納車前に変えてしまう方もいらっしゃるようです。
1つの目安として、わざと急ブレーキをかけて劣化具合を判断する方法があります。
急ブレーキをかけると車体が前につんのめる状態になります。(ノーズダイブ)
この時いつまでもグラグラしているようであれば、劣化しているかな?といった1つの指標になります。
総じてこのような状態になってしまったショックを「抜けている」「ヘタっている」と表現されます。
不具合の原因は?
大体の原因が経年劣化によるものです。
ダンパー(筒)内にオイルを封入している性格上、オイルの経年による酸化は避けられません。
そしてオイルを封入しているということはシーリング材としてゴムパッキン等が構造上使用されていることになります。
このパッキンも経年劣化によって伸縮し、密閉できなくなってオイル漏れを引き起こす原因になります。
大まかにいってショックの故障・不具合の原因はこの2つになると思われます。
その他のケースとして、そもそも設計上に難があり設計上の耐用年数を満たさずにオイル漏れを起こしたり、予期しない異音などが発生したりするトラブルに見舞われたり、
足回りに電子デバイス等の快適装備が付加され、機構が複雑化している足回りを持つ車などはストラット+バネというシンプルな構成の車よりは故障率が上がる傾向にあります。
この代表例がエアサスペンションを持つ車です。
エアサスは乗り心地に優れる反面、バネサスよりも足回りの部品点数が増えるので経年劣化による故障率は上がります。
特にエアサスはゴムを使用しているので古くなるといつかエア漏れを起こします。
エアサスに空気を送っているエアコンプレッサーも車によってはよく壊れる部品です。
エアサスよりも更に複雑なベンツ・BMWなどの、輸入高級車に多い~サスペンション等と名づけられた自動レベリング機構&速度に応じてショックの減衰をリアルタイムに変化させることのできる足回りを持つ車は、やはり故障が多いイメージは拭えません。
キャデラックもマグネティックライドという磁性流体を封入した特殊な足回りを採用しており、これもオーソドックスな足回りを持つ車に比べると壊れやすいとされています。
ショックの修理・交換はできるのか?
基本的には交換対応
では不具合のあるショックを修理したりするにはどうすればいいのか?
ショックは一般的に交換対応で修理することの方が多いようです。
オーバーホールの利く物もあったりしますが、やはりそっくり交換してしまう事例の方が多い気がします。
ショックは部品の構造上、オイルを密閉封入している部品なので1度分解してしまうと基本的に再使用はできません。
交換するとなると、どのような車でも結構高額になり、見積書を見て驚くことも多いでしょう。
高級車や輸入車など、ディーラー見積もりだと1本2~30万することもザラにあり、一般ユーザーには簡単に支払える額ではなく、
ヘタってしまったとわかっていながら我慢して乗っている方も大勢います。
社外品も検討してみる
交換を安価に抑えたいのであれば社外品の検討をしてみるのもアリです。
社外品と言っても車高を下げたり、足を固めたりと言ったようなカスタム目的ではなく、
中には純正同様の性能・信頼性を持たせ、純正からの修理交換を前提とした物もあるのです。
それでいて価格は純正の3分の2程度~安ければ半額と、うまくいけば修理費を抑えることも可能です。
国産車でもそういった事例が見られますが、車社会であるアメリカでは車種によっては純正品同等の社外ショックが何種類も存在し、より安価に修理できる可能性・選択肢が増えてきます。
以前私がリンカーン・タウンカーに乗っていたときは16万kmまで走り、その間2回ショック交換しています。
そのどちらの例も純正ショックに準じた性能である社外ショックを使用し、修理費を大幅に安く抑えることができました。
国産車であえばカヤバ製のショックなど、純正交換品として純正よりも安価でかつ高い信頼性を得ているように思います。
アメ車であればモンロー製のショックがいろいろな車両に純正交換品として設定があり、私もお世話になったことがありますが、その乗り味は純正同等で純正の乗り味を損ないたくないという人には最適だなと感じました。
それでいて純正品よりも安価で購入でき、メリットはたくさんあります。
ただ、社外品は純正品と比べるとどうしても耐久性や信頼性といった面では劣ってきてしまうのも事実。
購入する前はよく下調べをした方がいいかもしれません。中には評判の良くないようなメーカーもあるので。
その場合はみんカラなど、その車種に特化したコミュニティサイトを利用すると有益な情報が得られます。
ショック交換の変化は劇的
交換後の体感度合いは多くがわかりやすいもので、車が趣味とする方であれば思わずニヤッとしてしまうことでしょう。
それまでと全く性質の違うショックへ交換したならば、まるで乗りかえたかのようなフィーリングまで味わえます。
愛車への愛着がより一層深まるでしょう。
少し飽きてきたなあ、と感じるのであれば、交換することでもう少し乗ってみようか?と心変わりするかもしれません。
それほどまでにショックの交換は変化が大きく、交換したことで楽しめる部分であると言えます。
しかし交換するには多くの費用が必要になり、交換後のフィーリングが気に入らなかったとしてもなかなか再交換は難しいパーツでもあります。
ですので、あらかじめしっかりと下調べを済ませておくことが大事です。
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