開業してはや半年が経ちます。
店舗はないので「開業」という程大げさな感じではありませんが。
車のことにはある程度詳しいつもりですが、「販売」のことになるとそうはいきません。
勢いでオークション会員になってはみたものの、経験が全くないので何がイイのか悪いのかわからない。
小売りをメインに据えて、主戦場はヤフオク。と始める前から考えてはいました。
何を買えばいいのかわからないので開業した勢いそのままに、とりあえず自分の興味のある車を買い付ける。
それをヤフオクなどネットで販売。
これを月に1台ペースで行ってきました。
2~3ヶ月は運がいいことに結構な利益が出た。おそらくビギナーズラックというヤツだろうとは感じてはいました。
しかし案の定と言うべきか、そのビギナーズラックは早々に終わりを迎えることに。
あまりにもヤバすぎるオークションの洗礼を受けました。
こんなことがまかり通っていいのか?
商売としてダメなんじゃないか??
公表しようかどうか迷いましたが、オークション業界の実態を少しでもお伝えできればと、ここに記載します。
実際にあったオークション業界のトラブル
納車されるところで…
年末も押し迫る頃の11月。
コロナもあって会えていなかった友人達と週末、かなり久しぶりに(数年ぶり)のランチに出かけた。
話は弾み、場もあったまってきたころ1本の電話が。
陸送業者さんからだった。
「落札した車両、来週月曜お届けの予定です。お届け時間の詳細はまた当日連絡します。」
どうやら入札していた画像のリンカーン・ナビゲーターが落札できたようだった。
自分でもすっかり忘れてしまっていました。
「あ、良かった買えたんだ」
友人達と談話をしながらも少しづつ状況を把握してきた。
オークションは「流れ」も多い。買えるかどうか微妙だったけど、落札できた喜びがあとから湧いてきました。
リンカーン・ナビゲーター…今ではすっかりいなくなってしまったけど、ここ日本でも
「エスカレードかナビゲーターか?」
みたいな時代が確かにあった。
正規輸入されたのは3代目からであるにも関わらず、ナビゲーターが登場した当初、初代から名のある著名人や芸能人が購入していたのもあってなかなか知名度はありました。
なによりインパクトがあります。
日本ではありえない巨大なボディ、豪華なビジュアル、フッカフカなサスペンション、V8サウンド、
広大なアメリカ大陸を体現したかのような「This is アメ車」なナビゲーターは、今も昔も強烈な印象を与えます。
そんなナビゲーター、以前から気にはなっていたんです。
ですが私は基本的にセダンしか乗らないので、興味はあるものの購入リストからは外れていました。
なんですが、オークションの会員になったことで、「商品車としてなら扱ってもいいんじゃないか?」
と考えて仕入れてみたのです。予算ギリギリでしたが。
納車される当日、私はいつも通り会社で働いていたところに見知らぬ携帯番号から電話が。
陸送屋さんかな?と思い、電話を取ります。
「東西海運です。〇〇さんでよろしかったでしょうか?」
あ、やっぱり。陸送屋さんだ。
いよいよナビゲーターが納車かな?そう考えていたらこう切り出されました。
「今会場から自走で高速に乗って走行しているんですけど、これミッションがダメですね。」
「え??」
「ミッションダメなんですか??」
突然の申し出に唖然としました。陸送屋さんは続けます。
「はい。下を走っている分には問題なかったんですけど、上に乗って60km以上出したら急にエンジンが唸り出して。」
「なんかギアが2速か3速に固定されてるような感じですね。エンジンチェックランプも点いてスパナみたいなマークも点いてます。」
頭の整理が追いつきません。チェックランプが点いている?そんなこと出品票に書かれてなかったけど…
実際の出品票がコレです。
もしかしていきなり故障したのか?
だとしたら返品やクレームはきくのか?
きかなかったら大損になっちゃうのでは?
色々な考えが一瞬で浮かんできました。
「とりあえずは走れるんですか?」
このとき無難な質問を投げかけてみるのが精いっぱいでした。
「走るには走りますけど、これクレームで返しちゃった方がいいですよ。うちもよくやってるんで。」
「クレームきくんですか?私、開業したばかりでこういった経験がなくてどうしたらいいのかわからないんですけど…」
「そうですね。まずはオートサーバーさんに連絡した方がいいですね。うちは物を運ぶだけなので、ちょっとどうにもならないです。ごめんなさい。」
「とりあえず納車はさせていただきますね。近くになりましたらまた連絡します。」
たった5~6分のやり取りではありましたが、上記の通りかなり衝撃的な内容でした。
車が壊れていて、しかも壊れている箇所はミッションという致命傷にもなりかねない事案。
ミッション故障なんて滅多にあるもんじゃないと思ってましたが、たまたま運が悪かったのか?
直すとしたら軽く100前後はいきそうだ。載せ替えるにしてもなかなかモノが無いんじゃないだろうか?
まあクレームで返せるって言ってるし、よくやってるって言ってたし、なんとかなるか。
大前提としてオークションは
「出品票に各種チェックランプ点灯の記載がない」→「実際はチェックランプが点灯していた」
こうなるとクレーム案件で、申し立てれば車両を返却したり、修理代の請求ができるとのこと。
知り合いから聞きました。
なので軽い気持ちで考えていたんですが、そう思ってからが長い闘いの始まりでした。
本当に返却できるのか?
私が就労中に再度電話がかかってきました。
「一応納車は完了しました。私の方でも(不具合の)現認は取れてるので。それとリアゲートダンパーが抜けてて自動で開かないので注意してください。」
リアゲートまでも調子が悪いのか。それも記載が無かったのに…。
ミッションといい、この時点で変なタマを掴まされたような気がしていました。
とりあえずすぐにオートサーバー(オークション仲介会社)へクレームを入れることに。
クレームはネットで申請が可能です。
運送業者様からの申し出でエンジンチェックランプの点灯、ミッションの変速不具合、当時の状況など細かに記載しました。
クレーム申告から30分もしなかったでしょうか、オートサーバーから連絡がありました。
「ディーラーから修理見積もりをもらってください。案件からいっておそらく長丁場になると思います。」
「修理費用が車体価格の何%という割合で修理費用を支払うのが通常の流れです。全額負担はできません。」
「基本的には車両の返却は規約でできません。ケースバイケースではありますが。」
「重整備が必要な場合、エンジン・ミッション載せ替えになったときなんかは相手方(ナビゲーターを出品した)の方で物を探して、現物支給ということもあります。」
基本的に車両の返却はできないとのこと。
こっちはお金出して買って、故障していたら返品もできず、しかもその内容も修理費用全額持ってくれない。
それってどうなんですか?と。買った方は泣き寝入りするしかないじゃないですか?と。
ちょっと語気を強めに申したところ
「まずは見積もりをもらって、それを郵送で提出してください。そこからになります。」
みたいな話をされました。
まあオートサーバーはただの仲介会社なので、強く当たっても仕方ないところはありますが。
この時点でなんだかオオゴトになりそうな予感はしていました。
症状確認
帰宅し、その日の夜にも車の様子を確認しました。
「あれ?チェックランプ点いてないな。」
エンジンをかけるとチェックランプが点灯していません。
何度エンジンをかけなおしても点きません。
そのままちょっと試運転してみます。普通に走れます。どこもおかしいところはありません。50km程は走ったでしょうか。
昼間のやりとりはなんだったのか?という位調子がいい。
ちょっと距離を走ったり、スピード出さないと出ないのかもしれない。
なのでガソリンを追加で入れて、1時間位走ったところ…
いきなり症状発現。
80kmの定時走行中急にガツンと大きな変速ショック、同時に唸りを上げるエンジン、スパナのマークも点きました。
そのときのエンジン回転数は3,000回転位。
エンジンが唸っている、という陸送業者さんの弁は高速走行しているにもかかわらず、ずっと3,000付近でエンジンが回っていた為でした。
確かに3~4速固定でずっと走っている気がします。シフトショックが感じられない。
信号待ちからのスタートも遅い。回転を上げないと進まない。
ずっとエンジンの回転が高いままなのでガソリン消費量が半端じゃない。みるみる減っていくのがわかります。
症状が確認できたので一端自宅に戻る。
だけどチェックランプは付かなかったんです。
しかもエンジンかけなおすと、スパナマークが消えます。
これもしかしたら電装関係に不具合があるんじゃないか?
だとしたら、ちょっとした修正で直るかも??
まあまずは見積もりを取るのが先決か。クレームの期間もあるし。
オークション会場から早く見積もり取るようにと念を押されています。
うまく直ればいいけど、ちょっと商品としては信頼感ないなあ~。
などと思いながらその日は床につきました。
後日、チェックランプが点灯しないのが気になり、改めて高速走行メインで1時間程走行しましたが、
上記と同様の症状が現れ、今度はチェックランプが点きました。
チェックランプ点灯する・しないの瀬戸際で不具合が出ているんでしょう。
点灯したら何度かのエンジンON・OFFで消えます。
この状態でオークションに出品していたのでしょう。
ある程度走行しないと点灯しないので、オークション会場内は基本的には走れず、自走したとしても20km位がMAXとのことで、気づかなったのだと思います。
ディーラーの対応に「?」
翌日、仕事の合間を見てフォードのディーラーに連絡を入れます。
幸いなことに自宅付近に元フォードディーラーの看板をかつて掲げていたお店があったのです。
そしてこれまた幸いなことに、ナビゲーターの記録簿を見ると、なんと前所有者はそのお店で購入されているではありませんか。
新車販売は東京の別のお店でしたが、認定中古車として流れてきたようです。
これは色々と期待が持てる。
もしかしたらこのナビゲーターもディーラーメンテで手厚く整備されてて、今回の故障も大したことないんじゃないのか?
なんて考えもよぎります。
早速そのA店に電話。対応してくれた営業の方に事情を説明する。
すると
「大変申し訳ないのですが、今は業者さんはお断りなんです。それに現在は既存のお客様の入庫でいっぱいの状況でして、ご対応できる状態ではないんです」
やんわりと断られました。
こっちもモノ申したいところはありますが、業者は受け付けられないという方針なら仕方ない。
なんとなく腑に落ちませんが、切り替えて次のお店を探そう。そのときはそう思いました。
さて気を取り直して…
撤退したフォードのディーラーなんてそんなに存在するわけではないので、
ネットで調べて神奈川にある、なるべく自宅から近いフォードディーラーB店に電話。
しかし
ここも同じような理由で断られる。今は対応できませんと。
ここもなの??
…次からは業者であることは伏せることにしました。
業者お断り、みたいなお店ってあるんですよね。理由はわかりませんけど。
3件目C店、自宅からはちょっと離れるが仕方ない。電話してみたら
「申し訳ないです。フォード車を見れるスタッフが全員退職してしまって、今は受付できないんですよ。ネットにはフォード正規ディーラーを名乗ってはいるんですけどね…。」
なんともずさんな管理に閉口です。そんなことあるの?って感じです。早く看板降ろしてよと。
次で4件目D店、いい加減疲れてきました。自宅からはかなり離れます。
「以前からのうちの顧客様であれば見れるんですけど…ごめんなさい」
4件問い合わせて、結局どこも対応してくれませんでした。
この各ディーラーの対応、これはおかしい。今フォード車に乗ってる人はどうすればいいのか?
ディーラーで診てほしいから並行モノは買わない人もいるのに、こんな感じで結局ディーラーで診てくれないのではディーラー車を買う理由が希薄になってしまう。
なんだか面倒事をこっちに持ち込まないでよ、と言わんばかりのスタンス。
こっちもヒマではありません。仕事の合間に電話してるので。
フォードディーラーじゃなくても、その辺の輸入車屋さんならいくらでもあるのに。
それで対応できないかオートサーバーに問い合わせたら、「診断機を持ってるところなら大丈夫です。」
との回答。早く言ってよ。
最寄りの輸入車屋さんに週末持っていくことになり、ホッとしました。
ナビゲーターも過去に見たことがあるようなお店だったので、ある程度の知識もあるんじゃないかと。
散々ディーラーに電話して、ようやく対応してくれたのが地元の輸入車屋とは、なんだか悲しい。
ディーラー=親切・丁寧・高待遇
みたいなイメージを勝手に持っているのですが、正直いって揺るぎましたよね。
もうフォードは見たくないんだ、と遠回しに言っているような気がします。
見積もり提出~車体を会場に返却
地元の輸入車屋さんにアポを取って週末、診断機をあててもらうことに。
診断結果はミッションのトラブルコードのエラーが入っていたことを確認。
で、それを修正するにはやはりミッション載せ替え、もしくはオーバーホールが必要になるとのこと。
大がかりな修理になるのですぐに金額は出せない。週明けまで待ってほしい、と。
わかりました、と週が明けるまで辛抱していました。
帰宅してから、自分でも汎用診断機をあてて調べてみました。
そうです、実は私も診断機持ってます。汎用ですけど。
このコード、調べてみると結構厄介なトラブルコードっぽいです。
ちょっとした電装の不具合とか、ハーネスのショート、アース接地がうまくいってない、
等だったら簡単に直せたかもしれないんですけど、今回は危険な予感。
それで07ナビゲーターに搭載されてるミッションのことを調べたんです。
これ、ミッション自体はドイツのZF製のミッションで「6HP26X」というシロモノ。
フォード内では「6R60」という名称になります。
搭載されている車種は多く、BMWやジャガー等、多くの輸入車に搭載されています。
更にこのミッション、故障することで非常に有名で信頼性はかなり低い。
ガラスのミッション、とかって記載のあった記事も見かけました。
よくぞBMWもこんなミッションを継続的に採用してきたなあという感じ。
私が担当だったらとっくに不採用にしています。裏には色々と大人の事情があるんでしょうが。
そこで興味もあって、それなりの時間をかけて調べたんです、修理の方法を。
本国のサイトを見たり、ミッション修理屋、電装屋、ZF製のミッション専門に修理している工場、
色んなところに電話して意見を頂戴しました。
で、まとめたところ
- ①各ハーネスの点検
- ②ATF、ストレーナーを交換
- (ソレノイドバルブ交換)
- ③ミッション内部のゴムブッシュを交換
- ④TCM交換
- ⑤オーバーホール
点検・修理には上から順に行い、これらを潰していくことで完治します。
②辺りで直ってくれればラッキー。
ソレノイド交換してしまうとフォード専用の診断機繋いでモジュールのアップデートしないといけなくなる可能性もあります。
裏技として先にTCMのアップデートをかけてみて、これで直る可能性も20%位ある、とミッション屋さんに教えてもらいました。
大方は③がダメになっているケースが圧倒的で、
これを放置していくことでキズが広がって、重症になっていくというイメージですね。
オーバーホールまで完走してしまうと、当然100位は見ておかないといけません。
とあるミッション屋さんの在庫、6R60本体価格は120万だそうです。
このブッシュなんですが、部品自体はとても安い。
日本でも数千円で売ってたりします。
ただしそこに辿り着くまでの工賃と、フルードも抜けてしまうのでフルード代もかかる。
結果的に高額になってしまいます。
おそらく20前後位のイメージだと思います。
画像中央付近の四角い部品、これがダメになってミッション内部で油圧がかからなくなり、変速不良の原因となることが最も多いケースなようです。
続いて1番左の大きなパイプ。ハーネスを通す為のモノですが、これがダメになってここから油漏れを引き起こす。
この修理方法がわからず、そっくりオーバーホールしてしまって、より高額な修理費用を取られてしまうこともよくある話みたいです。
話が脱線してしまうのでここまでにしておきますが、ともかくナビゲーターのミッションは故障率が高い、ということです。
余裕があれば、この話は別途記事にします。
そんなこんなで修理の見積もりが出来上がって自宅に届いたので、オークション会場にそのまま送ります。
クレームとは別に、板金塗装の見積もりもお願いしていました。
数日後会場の担当さんのところへ無事に届き、連絡がありました。
「これから出品店さんと協議に入るので、1~2週間程かかります。」
併せて「現車確認がしたいので車両を会場に返却してください。」と申し出がありました。
翌日陸送屋さんから電話があり、日程を調整した上で車両を返却しました。
この返却も日中は会社勤めで対応できないので、車両の鍵を車に入れっぱなしにし、施錠せず開けたままにして対応しました。
さあどうなることやら。
規約では車両の返却はできないと言われています。
もし返却できなかったら…そんなことを考えてしまうと夜も眠れませんでした(本当です)
症状が確認できない
車両をオークション会場に返して1週間が過ぎました。
まだ何も返答はありません。
さすがに気になってきます。
この時点でもう12月も半ばに差し掛かる頃で、クレームで返せたとしても返金はいつされるのか?
という不安が出てきました。
車両を落札したのは11月頭です。
オートサーバーに催促の電話を入れてみます。
「ナビゲーターの件どうですか?」
「はい、ちょうどご連絡しようと思っていたところで、実は症状が確認できないんです。」
「車両はまだ会場の方にありまして、症状を再現させようとあれこれ試しているんですが、未だに出ていない状況なんです。」
なんだって?そんなはずはない。
これはよくある「ディーラーに持っていくタイミングで調子が良くなって原因がわからない」ってやつに違いない。
「私も確認しましたし、そもそも納車の段階で陸送業者さんが現認されてますよね?話はなかったんですか?」
「なんならチェックランプとスパナマークの画像送りますよ」
ちょっと強めに出てみました。
「そうなんですが、出品店さんが現認できないと車両の返却を認めないと言っているんですよ。」
「このままでは進まないので、最寄りのフォードディーラーへ車両を持ち込んで点検させていただこうかと考えています。」
「申し訳ないのですが車両返却できなかった場合、その際の陸送費・点検費用・その他諸々は御社持ちということになってしまいます。ご了承ください。」
電話を聞いてて血の気が引く思いでした。
おそらくそれだけで10近くはかかるだろうと予想できます。
まだ開業して数か月なのに…恐るべしオークション。
まさかこんな早くにトラブルを抱えてしまうとは思ってもいませんでした。
ん?
でもさっき「車両返却できなかった場合…」とか言ってたような…
ということは返却できる可能性も十分あるということ??
聞いてみました。
「修理費用があまりにも高額だった場合、とくに今回のケースはそれに該当すると思われるので、クレームの最終的な着地点は車両返却で我々も動いています。」
「車が特殊なのでミッションの在庫も出品店さん側で用意できないようで」
「あとは症状が出ればそれを材料に交渉できるのですが…」
こうなればあとは神頼み。
なんとか症状が出てもらうことを祈りつつ、それから1週間程が経ちました。
車両返却
まだかまだかと思いつつ、なかなか連絡が来ません。
12月も終わりを迎えそうな3週目後半、ついにオートサーバーから連絡が。
「症状確認取れました。大変お待たせして申し訳ありません。」
「現認が取れましたのでキャンセル扱いということで進めさせてもらってもいいでしょうか?」
長い長い闘いが終わりを迎えた瞬間でした。
本当にホッとしました。
車両はそのまま私の手元に戻ってくることなく、返却することになりました。
実を言うと、ちょっと勿体なかったなあという気持ちも少しはありました。
相場より安く買えたのもあるし、自分で乗ってちょっとずつ直しながら遊ぶのも良さそうだなあって。
久々のアメリカンフルサイズボディを運転して、やっぱりイイ。改めて思いました。
車幅目いっぱいに走っているようなあの感覚、タウンカー以来でした。
また機会があったら仕入れてしまうかもしれません。
オークションの闇を実体験
さて、これまでは言わば前置きで本当に怖いオークションの話はここからです。
長い前置きで申し訳ありません。
全てはコレが言いたいが為の布石でした。
車両を返却し、私はずっと思っていました。
「あのナビゲーターどうなるのかな?」と。
散々お世話になったオートサーバーのクレーム担当の方に聞いてみました。
「出品店さんによると思いますが、自社店舗で販売したり、数か月後とかに再度オークションに出てくるんじゃないでしょうか。」
私「そのときはミッション不良、ということで出品されるんですよね?」
「そうですね、記録には残るので。黙って(隠して)出品するとペナルティもあるので心象は悪くなります。」
「もしくは修理して出品するかでしょうね。」
私「ミッション不良ということで出品された場合、当然価格も安くなると思いますが、そういった車両をまた購入することはアリですか?」
「個人的にはオススメできませんね。もうクレームもきかないし。全部わかった上で落札されるのであればいいですけど…」
どうやらまたオークションに出てくる可能性もあるらしい。
価格次第ではまた買ってみてもいいかな?なんて思ってました。
で…年明け早々にまた出てたんです。そのナビゲーター。
数か月は見てようかと思ってましたが、本当に出てきました。
思っていたよりずっと早かったです。
他で売却してしまうことも考えられたし。
そこで出品票を見てみると…
いいですか?
よく見てください。
ミッション不良なんてどこにも記載がありません。
追加で記載があるのは私がクレームを出した「リアゲートダンパー」のことだけです。
しかも、しかもです。
わざわざナンバーを変えてわかりづらく?している上に、
この「特別規定7MAX」というコーナー、
一切クレームがきかないコーナーなんです。
エンジン、ミッション、重大な箇所に不良があったとしても一切のクレームがきかないコーナーです。
これはヤバイ、ヤバすぎる。
私はこの出品されたところを当日リアルタイムで見ていました。
出品店は確実に、故障している事実を隠して出品しています。
そしてそれを受け入れたオークション会場。故障がわからないハズはありません。
とてつもなく深い、漆黒よりも更に黒い、真っ黒以外の何物でもない「闇」を垣間見ました。
チェックランプを隠すのは重大な規約違反とされ、出品店に罰金が課されると聞いています。
(会場によっても対応が違うと思います)
冒頭に少し記載しましたが、今回のナビゲーターのこの症状、一旦チェックランプが点いても、何回か走行しているうちにECUが正常だと判断すると、チェックランプが消えてしまうんです。
それにある程度ミッションが温まって油圧がかかってこないと発現しにくい症状と考えられ、
それを逆手に取っての出品と思われます。
まだあります。
私が今回問い合わせたミッション屋さんの中に
「そのナビゲーター黒のヤツじゃない?」
「何ヶ月か前に同じ不具合で問い合わせがあったんだよね。困ってオークションに流したんじゃないの?」
っておっしゃる方がいたんです。
その方の言っているナビゲーターが、今回私が仕入れたナビゲーターとは言い切れませんが、
もしそうだとすると…
全国のオークション会場内をグルグルと回っている可能性すらあります。
最終的にこのナビゲーターは、私が当初落札した価格とそう変わらない値段で落札されていきました。
現車を確認して、落札店は泣きを見たに違いありません。
その後どうなったかはわかりません。
こんな話、業者の方々にすればどうってことないものかもしれません。
ですが一般の人からすると驚きますよね。
私だって仕事を忘れて見入ってしまいました。この出品票を見たときは信じられませんでしたよ。
話を聞いたら「車業界は昔から全く変わってない。隠ぺい体質も悪い習慣も全てそのまま。」
と元車屋さんがおっしゃっていました。
youtubeでもオークションの暴露動画なんかが上がっていますよね。
今回のナビゲーターもほんの氷山の一角にすぎません。
実際、今手持ちの車両でも既に出品票と相違がありました。(故障していました)
私の友人に外国の方がいますが、この話をしたら「日本人でもそんなことするんだね」と言われました。
その一言に悲しくなりました。
実際こういう状態が成り立っていて日本の中古車業界は回っているので、今更正常化するのは難しいのかもしれません。
アメ車のナビゲーターだからこんな故障が多いんじゃないの?
と思う方もいると思いますが、オークション会場内の輸入車はとても故障が多いそうです。
知り合いが買い取り屋さんをやっているとき、
「仕入れ、下取りで入って来る外車は9割がどこかしらが壊れている。」
と言っていました。
車屋を始めてわかりましたが、輸入車専門でやってる店舗は凄いなと思います。
この場でオークションの実態を少しでもお伝えできればと思って記載しましたが、
もしかしたら同業の方から怒られるかもしれません。
中古車オークション業界は健全な場ではありません。
こういった騙し合いやババ抜きが日常です。
私は今回運よく回避できましたけど、そのうちババが回ってくるハズです。
オークション関係の話は今後も時間があるときにちょくちょく記載できれば、と考えています。
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